Veritas InfoScale™ 8.0 ソリューションガイド - Linux
- 第 I 部 Veritas InfoScale の概要
- 第 II 部 Veritas InfoScale 製品のソリューション
- 第 III 部 IPv6 またはデュアルスタックへのスタックレベルの移行
- 第 IV 部 データベースのパフォーマンスの向上
- データベースアクセラレータの概要
- Veritas Concurrent I/O によるデータベースパフォーマンスの向上
- Atomic Write I/O によるデータベースパフォーマンスの向上
- 第 V 部 PITC (Point-In-Time Copy) の使用
- 第 VI 部 ストレージ利用率の最大化
- 第 VII 部 データ移行
- データ移行の理解
- LVM から VxVM へのオフライン移行
- ネイティブファイルシステムから VxFS へのオフライン変換
- ネイティブファイルシステムの VxFS ファイルシステムへのオンライン移行について
- ストレージアレイの移行
- プラットフォーム間のデータ移行
- CDS(Cross-Platform Data Sharing)機能の概要
- CDS のディスク形式とディスクグループ
- CDS(Cross-platform Data Sharing)を使用するためのシステムの設定
- システムの管理
- ディスクの操作
- ディスクグループの操作
- 情報の表示
- ファイルシステムに関する考慮事項
- Oracle ASM から Veritas File System への移行
- 第 VIII 部 vSphere の Just In Time Availability ソリューション
- 第 IX 部 Veritas InfoScale 4 K セクタのデバイスサポートのソリューション
- 第 X 部 REST API のサポート
- 第 XI 部 参照先
ファイルシステムのバイト順の変更
fscdsconv コマンドを使い、ファイルシステムを一方のシステムからもう一方に移行します。
ファイルシステムのバイト順を変更するには
- 移行するファイルシステムのディスクレイアウトのバージョンを確認します。
# fstyp -v /dev/vx/rdsk/diskgroup/volume | grep version magic a501fcf5 version 9 ctime Thu Jun 1 16:16:53 2006
変換可能なファイルシステムは、バージョン 7 以降のディスクレイアウトを持つファイルシステムのみです。ファイルシステムのディスクレイアウトがバージョン 6 より前である場合は、作業を続行する前にファイルシステムをバージョン 7 以降に変換してください。
vxfsconvert(1M)マニュアルページを参照してください。
vxupgrade(1M)マニュアルページを参照してください。
- ファイルシステムのフルバックアップを実行します。このバックアップを行わないと、バックアップからの復元が必要となるような障害が発生した場合に、データが損失または破損する可能性があります。
- 変換処理が失敗した場合に使う回復情報を格納するファイル(fscdsconv の実行で作成)を保存するのに十分な空き領域を持つファイルシステムを指定します。
ミラー化されている場合など、変換するファイルシステムの特性によっては、同じレベルの耐障害性を持つファイルシステムに回復ファイルを保存するよう指定することもできます。同じレベルの耐障害性を持つことで、バックアップからの復元が必要となるような障害の発生頻度を抑えることができます。
- 変換するファイルシステムをマウント解除します。
# umount mount_point
- fscdsconv コマンドを使い、該当するファイルシステムを必要な移行先に次のようにエクスポートします。
# fscdsconv -f recovery_file -t target_OS -e special_device
target_OS は、ファイルシステムの移行先のオペレーティングシステムを指定します。
recovery_file は、fscdsconv コマンドによって作成される回復ファイルの名前です。
special_device は、変換するファイルシステムを含む RAW デバイスまたはボリュームです。
回復ファイルを指定するときには、3 で選択したファイルシステムを含めます。
たとえば、回復ファイルの保存先として選択したファイルシステムが /data/fs3 にマウントされている場合、回復ファイルを /data/fs3/jan04recovery のように指定します。選択したファイルシステムに、回復ファイルの作成に十分なディスク領域がない場合、変換処理は中断され、ファイルシステムは変換されません。
回復ファイルは障害発生後の回復目的に使われるだけでなく、変換処理の実行にも使われます。データ損失やセキュリティ違反が発生する可能性があるため、回復ファイルが格納されるディレクトリは、システム管理者以外のユーザーがファイルを削除または置換できないように設定する必要があります。回復ファイルは、システムの再ブート後にファイルを削除するシステムスクリプトまたはローカルスクリプトの実行対象となるディレクトリ(Solaris OS の /tmp や /var/tmp など)には格納しないでください。
回復ファイルは通常、スパースファイルです。このファイルのディスク使用効率を最適化するには、次のコマンドを実行します。
# du -sk filename
回復ファイルは、ファイルシステムのバイト順を、指定した移行先に適したバイト順に変換する必要がある場合にのみ使われます。
- 複数のファイルシステムを同時に変換する場合は、ファイルシステムごとに異なる回復ファイルの使用が必要となるため、後で障害からの回復が必要となるときに備えて、回復ファイルおよび対応する変換対象のファイルシステムの名前を記録しておいてください。
- fscdsconv は、移行先について指定された情報に基づいて完全な移行先を構築および表示し、移行先に関するすべての詳細を確認するよう求めます。移行先を変更する必要がある場合は、n を入力して、ファイルシステムを修正せずに fscdsconv を終了してください。処理のこの時点では、fscdsconv は指定した回復ファイルを使っていません。
- 指定した移行先にファイルシステムを移行するためにファイルシステムのバイト順を変換する必要がある場合は、fscdsconv により、移行の確認を求めるメッセージが表示されます。ここで y を入力してファイルシステムのバイト順を変更します。バイト順を変更する必要がない場合は、その旨を示すメッセージが表示されます。
- fscdsconv コマンドは、指定された移行先の最大ファイルサイズ、最大 UID、最大 GID の限度に違反したファイルがある場合はこれを通知するメッセージを表示し、処理を続行するかどうかユーザーに確認を求めます。移行先の限度に違反したファイルの訂正操作をする必要がある場合は、n を入力して fscdsconv を終了します。処理のこの時点では、fscdsconv は指定した回復ファイルを使っていません。
移行によってファイルシステムのバイト順が変換された場合は、fscdsconv が回復ファイルを作成しています。回復ファイルは移行完了後に削除されず、後で必要になった場合は、回復ファイルを使ってファイルシステムをもとの状態に復元できます。
- 以上のような場合、変換中のファイルシステムは他の VxFS ユーティリティを使って正常にマウントまたはアクセスできなくなります。ファイルシステムの回復を実行するには、次のように回復フラグ -r を指定して fscdsconv コマンドを実行します。
変換中に障害が発生した場合、次のいずれかの可能性があります。
システム障害
fscdsconv コマンドの障害(プログラムの欠陥またはユーザー操作による異常終了が原因)
# fscdsconv -r -f recovery_file special_device
-r フラグを指定して fscdsconv コマンドを実行する場合は、回復ファイルが存在しており、変換対象のファイルシステムが fscdsconv の 2 回目の呼び出しで指定されているのと同じファイルシステムである必要があります。
- -r フラグを指定して fscdsconv を実行すると、変換が再開し、正常に完了します。
それでも障害が発生する場合は、10 を繰り返します。
回復ファイルを格納するディスクに障害が発生したなど、状況によっては、バックアップからファイルシステムを復元する必要があります。バックアップを作成していなかった場合、ファイルシステムの全データが失われる可能性があります。また、ファイルシステムが格納されているデバイス上で I/O エラーが発生した場合も、物理デバイスの問題を解決した後にバックアップからの復元が必要となる可能性があります。これら以外にも、バックアップの使用が必要となる障害の原因が存在する可能性があります。
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