Veritas Access 管理者ガイド
- 第 I 部 Veritas Access の概要
- 第 II 部 Veritas Access の設定
- ユーザーまたは役割の追加
- ネットワークの構成
- Veritas Access ネットワークの構成について
- イーサネットインターフェースの結合について
- イーサネットインターフェースの結合
- DNS 設定の構成
- イーサネットインターフェースについて
- 現在のイーサネットインターフェースと状態の表示
- IP アドレスの設定
- ジャンボフレームを使用する Veritas Access の設定
- VLAN インターフェースの設定
- NIC デバイスの構成
- ネットワークインターフェースの交換
- PCI ID をクラスタから除外する
- ルーティングテーブルの設定について
- ルーティングテーブルの設定
- ファイアウォール設定の変更
- IP 負荷分散
- IPv4 と IPv6 の複合モードでの Veritas Access の構成
- 認証サービスの構成
- 第 III 部 Veritas Access ストレージの管理
- ストレージの構成
- ストレージのプロビジョニングと管理について
- ディスクの構成について
- ストレージプールの設定について
- ストレージプールの構成
- クォータの使用状況について
- ファイルシステムクォータの状態の有効化、無効化、表示
- ファイルシステムクォータの設定と表示
- 指定したグループのユーザーのユーザー割り当ての設定
- CIFS ホームディレトリのクォータについて
- Flexible Storage Sharing について
- Flexible Storage Sharing の制限事項
- Flexible Storage Sharing ファイルシステムに対するイレイジャコーディングの構成
- Veritas Access CLI を使用したストレージの設定と管理のワークフロー
- クラスタ内のノードに関連付けられたすべてのディスクデバイスに関する情報の表示
- WWN 情報の表示
- 新規プールまたは既存プールに対する新しい LUN の強制的なインポート
- LUN のホスト検出の開始
- LUN のストレージ容量の増量
- ディスクのフォーマットまたは再初期化
- ディスクの削除
- I/O フェンシングによるデータ整合性の構成
- iSCSI の構成
- iSCSI ターゲットとしての Veritas Access
- ストレージの構成
- 第 IV 部 Veritas Access ファイルアクセスサービスの管理
- NFS サーバーの構成
- CIFS サーバーとしての Veritas Access の使用
- CIFS 用の Veritas Access の構成について
- スタンドアロンモード用の CIFS の構成について
- スタンドアロンモード用の CIFS サーバーの状態の構成
- セキュリティ設定の変更
- CIFS サーバー停止後のセキュリティ設定の変更
- Active Directory (AD) について
- Active Directory (AD) ドメインモードの CIFS の設定について
- NTLM の設定
- 信頼できるドメインの設定について
- CIFS サーバーへのアクセスを許可される信頼できるドメインの指定
- IDMAP バックエンドを rid に設定するときの、信頼できるドメインによる CIFS へのアクセスの許可
- IDMAP バックエンドを ldap に設定するときの、信頼できるドメインによる CIFS へのアクセスの許可
- IDMAP バックエンドを hash に設定するときの、信頼できるドメインによる CIFS へのアクセスの許可
- IDMAP バックエンドを ad に設定するときの、信頼できるドメインによる CIFS へのアクセスの許可
- CIFS の IDMAP バックエンドとしての Windows Active Directory の設定について
- CIFS スキーマ拡張を使用した Active Directory スキーマの構成
- CLI による認証用の LDAP クライアントの構成
- LDAP バックエンドでの CIFS サーバーの構成
- Active Directory の信頼できるドメインの設定
- アカウント情報の保存について
- ユーザーおよびグループアカウントの保存
- CIFS サービスの再構成
- CIFS/NFS 共有のユーザー名のマッピングについて
- mapuser コマンドについて
- CIFS ユーザーと NFS ユーザーとの間のマッピングの追加、削除、または表示
- UNIX ユーザーの LDAP から Windows ユーザーへの自動マッピング
- ホームディレクトリの管理について
- CIFS クラスタモードについて
- CIFS 共有とホームディレクトリの移行について
- CIFS の aio_fork オプションの設定
- ローカルユーザーとグループの管理について
- CIFS データ移行の有効化
- FTP サーバーの構成
- 第 V 部 Veritas Access Object Store サーバーの管理
- 第 VI 部 監視とトラブルシューティング
- 第 VII 部 Veritas Access ファイルシステムのプロビジョニングと管理
- 第 VIII 部 クラウドストレージの構成
- 第 IX 部 Veritas Access 共有のプロビジョニングと管理
- アプリケーション用の共有の作成
- NFS 共有の作成と維持
- CIFS 共有の作成と維持
- CIFS 共有の管理について
- CIFS 共有としてのディレクトリのエクスポート
- Enterprise Vault ストアのセカンダリストレージとしての CIFS 共有の構成
- 異なる CIFS 共有としての同じファイルシステムまたはディレクトリのエクスポート
- CIFS のエクスポートオプションについて
- 共有プロパティの設定
- CIFS 通常共有を追加するときのシステムファイルの非表示
- CIFS 共有のプロパティの表示
- 指定したユーザーとグループの CIFS 共有へのアクセスを許可
- 指定したユーザーとグループの CIFS 共有へのアクセスを拒否
- CIFS スナップショットのエクスポート
- CIFS 共有の削除
- CIFS 共有の変更
- CIFS 共有をシャドウコピー対応にする
- スケールアウトファイルシステム用の CIFS 共有の作成
- OpenStack と連携する Veritas Access の使用
- Veritas Access と Data Insight の統合
- 第 X 部 Veritas Access ストレージサービスの管理
- データの重複排除
- ファイルの圧縮
- SmartTier の構成
- Veritas Access SmartTier について
- Veritas Access での SmartTier の使用方法
- 各階層ファイルシステムのポリシーの構成
- ファイルシステムへの階層の追加
- ファイルシステムのセカンダリ層の列の追加または削除
- ファイルシステムの階層にミラーを構成する
- 指定した階層のすべてのファイルの一覧表示
- SmartTier ファイルシステムのリストの表示
- 階層化ポリシーについて
- 各階層ファイルシステムのポリシーの設定について
- 再配置ポリシーを設定するためのベストプラクティス
- 階層ファイルシステムのファイルまたはディレクトリの再配置
- 指定したファイルの階層の場所の表示
- すべての階層ファイルシステムのスケジュール設定について
- 階層ファイルシステムのスケジュールの設定
- ポリシーの実行により移動または除去される可能性があるファイルの表示
- ファイルシステムのメタデータ情報のセカンダリ層への書き込みを許可する
- メタデータ情報をプライマリ層にのみ制限する
- ファイルシステムからの階層の削除
- SmartIO の構成
- 一時的なレプリケーションの構成
- Veritas Access の一時的なレプリケーションについて
- Veritas Access の一時的なレプリケーションのしくみ
- Veritas Access の一時的なレプリケーションの開始
- ソースクラスタと宛先クラスタ間の通信の設定
- レプリケートするファイルシステムの設定
- 一時的なレプリケーションユニットから除外するファイルの設定
- 一時的なレプリケーションのスケジュール設定
- レプリケート対象の定義
- 並列する一時的なレプリケーションジョブの最大数について
- 一時的なレプリケーションジョブの管理
- 圧縮データのレプリケート
- 一時的なレプリケーションジョブの情報と状態の表示
- 一時的なレプリケーションジョブの同期
- 一時的なレプリケーションの宛先ファイルシステムの動作
- 一時的なレプリケーション先として構成されているファイルシステムへのアクセス
- リカバリポイント目標 (RPO) レポートの作成
- 一時的なレプリケーションジョブのフェールオーバーとフェールバック
- 連続レプリケーションの構成
- スナップショットの使用
- インスタントロールバックの使用
- 第 XI 部 参照
特定の作業負荷向けに調整されたファイルシステムの作成について
Veritas Access では、特定の種類の作業負荷向けに適切に調整されたファイルシステムを簡単に作成できます。
次の一般的なクライアントアプリケーション向けに新しく作成したファイルシステムを使用できます。
仮想マシンの作業負荷
メディアサーバーの作業負荷
ストリーミングメディアはインターネットのリッチコンテンツの新しい傾向です。ビデオの作成、圧縮、キャッシュ、ストリーミングに関する進歩と、その他のコンテンツ配信技術により、オーディオとビデオがインターネットでリッチメディアとして組み合わせられました。Veritas Access を使用して、リッチメディア、ビデオ、映画、オーディオ、音楽、画像ファイルを保存できます。
詳しくは、Storage> fs のマニュアルページを参照してください。
Storage> fs create pretuned media_fs 100g pool2 workload=mediaserver layout=striped 8
workload=mediaserver オプションにより、media_fs というファイルシステムを 100 g のサイズで、8 個のディスクでストライプ化した pool2 に作成します。
メモ:
指定したファイルシステムの作業負荷を 1 つだけ選択できます。ファイルシステムを作成するときに作業負荷を指定すると、ファイルシステムの作成後に作業負荷を変更することはできません。
VMDK ファイルとも呼ばれる仮想マシンのディスクファイルは、仮想マシンの仮想ディスクを表す Veritas Access ファイルシステムに保持されているファイルです。VMDK ファイルのサイズは仮想ディスクと同じサイズであるため、通常非常に大きくなります。仮想マシン内で仮想ディスクへの書き込みが実行されると、Veritas Access ファイルシステムのエクステントが VMDK ファイルに追加されます。VMDK ファイルが大きいため、ひどく断片化する可能性があり、これにより仮想ディスクの読み取りおよび書き込み時のパフォーマンスが徐々に低下します。仮想マシンの作業負荷専用のファイルシステムを作成する場合、Veritas Access はファイルシステムを内部的に調整して VMDK ファイルに 1 MB の固定のエクステントサイズを割り当てます。ブロックサイズが 1 MB であると、ファイルシステムおよび VMDK ファイルの断片化の両方が大幅に削減されると同時に、仮想マシンの作業負荷のパフォーマンスが向上します。
メディアサーバーの作業負荷には、大量のシーケンシャルな読み取りと書き込みが関係します。複数のディスクにストライプ化することで、I/O 遅延を改善できます。
ファイルシステムを作成するためのベストプラクティスを参照してください。
メディアサーバーの作業負荷に対して、Veritas Access は書き込み I/O スループットの量を制限するのに役立つチューニングパラメータを提供します。チューニングパラメータにより、情報のストリーミング (シーケンシャルな読み取り) に対する、同じ NAS サーバーでの書き込み I/O を実行するその他のプロセスの影響を防ぎます。たとえば次のような使用例があります。ビデオをストリーミングするとします。これはファイルの読み取り (シーケンシャルな読み取り) です。バッファリングが原因でビデオの表示を一時停止しないようにします。別のユーザーが、新しいコンテンツを同じファイルシステムにアップロードしている可能性があります (このアップロードは別のファイルへのデータの書き込みです)。アップロード (書き込み) により、バッファリングが原因でストリーミング (読み取り) が一時停止する可能性があります。システムメモリを過剰に消費しないように、Veritas Access は書き込み処理をスロットルします。
各ファイルシステムは、他のファイルシステムとは独立して値 write_thottle を調整する必要があります。デフォルト値は 0 であり、write_throttle がないことを意味します。スロットルはファイル単位です。そのため、同時に複数のファイルに書き込む場合、write_thottle しきい値は各ファイルに別個に適用されます。
ファイルシステムにゼロ以外の値を設定すると、ファイルに関連付けられているダーティメモリページ数がしきい値を超えるのを防ぎます。write_thottle 値を 256 に設定すると、256 個のダーティメモリページがファイルに対して作成された後、ファイルへの書き込みは一時停止され、ファイルがディスクにフラッシュされます。ファイルのダーティページ数が write_throttle しきい値に達すると、空きメモリが利用可能であっても、それ以上のページのダーティ化が一時停止され、ファイルシステムがディスクへのファイルのフラッシュを開始します。各メモリページは、4 KB のファイルデータであるため、256 ページは 1 MB のファイルデータです。write_thottle の値を設定するということは、(NAS サーバーで) しきい値に達するとスレッドの書き込みが一時停止するのと同時に、そのファイルへのさらなる書き込みを再開する前に、ファイルのダーティページがディスクにフラッシュされることを意味します。フラッシュされると、ダーティページはクリーンなページになります。これは、たとえばストリーミングの読み取りのためにディスクからデータをプリフェッチするために、メモリ (ページ) が再利用可能になることを意味します。write_throttle の値を設定すると、書き込み I/O がシステムメモリを過剰に消費しなくなります。
write_throttle の設定は、何度か試行する必要があるため、Veritas Access ではデフォルトでゼロ以外の値が設定されません。write_throttle の有効な範囲は、0 から 2048 ページです。試行に適した値は、256 です。