NetBackup™ アップグレードガイド

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Product(s): NetBackup (10.3)
  1. 概要
    1.  
      『NetBackup 10.3 アップグレードガイド』について
    2.  
      利用可能な NetBackup アップグレード方式
    3. NetBackup 10.3 の変更について
      1.  
        アップグレードに必要なライセンスファイル
      2.  
        インストールディレクトリに多数のファイルが存在する場合、Windows プライマリサーバーのアップグレード速度が低下する
      3.  
        NetBackup データベースの変更について
      4.  
        NetBackup 9.1 以降のインストールとアップグレードに関する Windows コンパイラとセキュリティの要件
      5.  
        一部のコンピュータでは Java GUI と JRE のインストールは省略可能
      6.  
        ログディレクトリの権限はロールバック時にリセットが必要
      7.  
        NetBackup 7.6.0.4 以前からのアップグレードの非サポート
      8.  
        NetBackup 8.2 以降でサポートされる外部認証局の証明書
    4.  
      Veritas Usage Insights について
    5.  
      Veritas Usage Insights のベストプラクティス
  2. アップグレード計画
    1. 一般的なアップグレードの計画について
      1.  
        NetBackup 10.3 のアップグレード計画について
      2.  
        NetBackup 10.3 へのアップグレードの計画方法
      3.  
        レガシーログディレクトリのセキュリティ更新
      4.  
        統合ログのセキュリティ更新
      5.  
        通知、メッセージ、耐性の構成情報がアップグレードされない
      6.  
        カタログバックアップの既知の制限事項
      7.  
        NetBackup ホスト用のセキュリティ証明書について
      8.  
        アップグレードによるファイルの自動変更について
      9.  
        アップグレード前のジョブデータベースのサイズの削減
      10.  
        SUSE Linux プライマリサーバーのアップグレードに関する既知の問題
    2.  
      パフォーマンスと調整に関する注意事項
    3. アップグレードツールについて
      1.  
        Veritas Services and Operations Readiness Tools について
      2.  
        SORT のアップグレードのための推奨手順
      3.  
        NetBackup インストール前チェッカーについて
      4.  
        NetBackup データベースアナライザツールについて
    4. アップグレードに関する注意事項および制限事項
      1.  
        NetBackup Web サーバーをサポートするユーザーアカウントの作成
      2.  
        NetBackup 10.3 による RHEL 7.5 以降でのファイバートランスポートメディアサーバーのサポートについて
      3.  
        NetBackup 8.1 での MSDP の変更
      4.  
        NetApp クラスタに必要になる可能性のある変更
      5.  
        Bare Metal Restore 情報がエラー自動イメージレプリケーションを使って複製されるときのエラー
      6.  
        バージョン 8.1 より前のクライアントと 8.1 以降のメディアサーバーでのアップグレードの問題
  3. プライマリサーバーのアップグレード
    1.  
      プライマリサーバーのアップグレードについて
    2.  
      NetBackup 10.3 へのアップグレードのプレインストール手順
    3.  
      Windows システムでローカルサーバー、リモートサーバー、クラスタサーバーのアップグレードを実行する
    4.  
      Windows システムでのサイレントアップグレードの実行
    5.  
      NetBackup 10.3 への Linux サーバーソフトウェアのアップグレード
    6.  
      Linux での NetBackup プライマリサーバーソフトウェアのサイレントアップグレード
    7.  
      NetBackup 10.3 へのアップグレードのインストール後の手順
    8.  
      NetBackup の起動と停止のスクリプトについて
    9.  
      アップグレード後のシステムの更新
  4. メディアサーバーのアップグレード
    1.  
      メディアサーバーの NetBackup 10.3 へのアップグレードのプレインストール手順
    2.  
      NetBackup 10.3 への NetBackup メディアサーバーのアップグレード
    3.  
      Linux での NetBackup メディアサーバーソフトウェアのサイレントアップグレード
  5. NetBackup の MSDP のアップグレード
    1.  
      NetBackup 8.1 での MSDP のアップグレードの考慮事項
    2.  
      MSDP ローリングデータ変換について
    3.  
      MSDP 指紋アルゴリズムの変更について
  6. クライアントのアップグレード
    1.  
      クライアントのアップグレードについて
    2.  
      クライアントの NetBackup 10.3 へのアップグレードのプレインストール手順
    3.  
      NetBackup アップグレードスクリプトによる UNIX および Linux クライアントのアップグレード
    4.  
      ネイティブインストーラによる UNIX と Linux のクライアントバイナリのアップグレード
  7. VxUpdate を使用した NetBackup 配備の管理
    1.  
      VxUpdate について
    2.  
      VxUpdate で使用するコマンド
    3.  
      リポジトリの管理
    4.  
      配備ポリシーの管理
    5.  
      VxUpdate を使用したプライマリサーバーからのアップグレードの手動による開始
    6.  
      VxUpdate を使用したメディアサーバーまたはクライアントからのアップグレードの手動による開始
    7.  
      配備ジョブの状態
    8.  
      新しい EEB 管理ビュー
  8. 付録 A. 参照先
    1.  
      NetBackup プライマリサーバー Web サーバーのユーザーとグループの作成
    2.  
      NetBackup データベースユーザー
    3.  
      クラスタ化されたプライマリサーバーの非アクティブノードで証明書を生成する
    4.  
      NetBackup Java Runtime Environment について
    5.  
      アップグレード後の Java GUI と JRE の追加または削除
    6.  
      NetBackup Web ユーザーインターフェースについて
    7.  
      NetBackup 応答ファイルについて
    8.  
      NetBackup IT Analytics Data Collector バイナリの手動によるインストールまたはアンインストール
    9.  
      NetBackup 用 NetBackup IT Analytics Data Collector の手動構成
    10.  
      NetBackup IT Analytics Data Collector の手動でのアップグレード
    11.  
      維持される Java Virtual Machine のオプション
    12.  
      RBAC ブートストラップについて
    13.  
      NetBackup ソフトウェアの入手について
    14.  
      NetApp クラスタのためのアップグレード前の追加手順
    15.  
      Replication Director を使用した NetApp ディスクアレイの使用
    16.  
      NetBackup のバージョン間の互換性について
    17.  
      UNIX および Linux の場合のアップグレード要件
    18.  
      Windows および Windows クラスタのアップグレード要件
    19.  
      Windows クラスタのアップグレードの要件
    20.  
      新しいメディアサーバーに全データを移行してクラスタ化されたメディアサーバーを削除する
    21.  
      Amazon クラウドストレージサーバーのアップグレード後の手順
    22.  
      サーバーのアップグレード後のクライアントのアップグレード
    23.  
      アップグレードエラーのロールバック手順
    24.  
      NetBackup プライマリサーバーとドメインのサイズについてのガイダンス

NetBackup 10.3 へのアップグレードの計画方法

NetBackup 10.3 へのアップグレードの準備段階で複数の要素を検討する必要があります。

データベースのユーザー、ポート、ディスク容量の要件

Linux 環境の場合、新しい NetBackup データベースの操作には root 以外のユーザーが必要です。root ユーザーが NetBackup デーモンを起動すると、root 以外のユーザーを求めるメッセージが表示されます。ユーザー名は次に示す基準を満たす必要があります。

  • root アカウントは許可されません。

  • sudo ユーティリティへのアクセス権を持つアカウントは許可されません。

  • ユーザー名は 1 文字から 31 文字である必要があります。

  • ユーザー名には英語の文字のみを含める必要があります。

  • スケールアウトデータベースユーザーとして nbwebsvc ユーザーを使用しないでください。

  • 詳しくは、次を参照してください。https://www.veritas.com/docs/100053091

root 以外のユーザーで NetBackup デーモンがすでに起動している場合は、この同じアカウントが NetBackup データベースの実行に使用されます。

新しいデータベースには、デフォルトでポート 13787 を使用する接続プールサービスがあります。このポートがデータベース操作に利用可能であることを、アップグレード前に確認します。有効なポート番号を指定しないと、ポートの問題が解決するまで NetBackup が使用できなくなります。

このポートが利用できない場合は、Linux アップグレード中に応答ファイルで値を変更できます。Linux の対話型アップグレードにはプロンプトが表示されません。Windows プライマリサーバーの場合は、アップグレード中にカスタムインストールパスを選択するとポート値を変更できます。応答ファイルに関する詳しい情報を参照できます。

NetBackup 応答ファイルについてを参照してください。

アップグレード中は、変換に追加のディスク容量が必要です。この容量は、新しい PostgreSQL データベースを作成し、一時的な .dat ファイルを格納するために必要です。Veritasは、新しいデータベースが古いデータベースとほぼ同じになることを想定します。一時 .dat ファイルには、現在の ASA .db ファイルと同じサイズの容量が必要です。

Linux プライマリサーバーでは、データベースファイルは /usr/openv/db/data ディレクトリにあります。Windows プライマリサーバーでは、データベースファイルは install_path\Veritas\NetBackupDB\data ディレクトリにあります。

管理者以外のユーザーとしての NetBackup デーモンおよびサービスの起動

NetBackup 9.1 では、ほとんどの NetBackup デーモンとサービスを root 以外のユーザーとして起動できるようになりました。Veritas は、root 以外のユーザーとして NetBackup サービスを開始することをお勧めします。権限の少ないユーザーを使用する場合は、それに応じて計画する必要があります。ユーザーアカウントが、ディザスタリカバリファイル、外部認証局 (ECA) ファイル、一時ファイルのパスにアクセスできることを確認します。

UNIX と Linux の場合、プライマリサーバーのアップグレード中に新しいプロンプトが表示されます。新しいプロンプトではサービスユーザー (root 以外にすることが望ましい) の入力を求めるメッセージが表示されます。このユーザーは事前に作成する必要があり、セカンダリグループとして nbwebgrp を指定する必要があります。

サービスユーザーが root 以外のアカウントの場合は、データベースユーザーとして使用されます。この場合、別のデータベースユーザーの入力を求めるメッセージは表示されません。

Windows では、ローカルサービスの組み込みアカウントをサービスアカウントとして使用できます。このオプションは、プライマリサーバーの[カスタム (Custom)]アップグレードパスで利用可能です。

インストールの完了後に、nbserviceusercmd コマンドを使用してメディアサーバーとクライアントでサービスユーザーを変更できます。nbserviceusercmd コマンドについて詳しくは、『NetBackup コマンドリファレンスガイド』を参照してください。サービスユーザーアカウントについて詳しくは、https://www.veritas.com/support/en_US/article.100053035 を参照してください。

Windows では、NetBackup Legacy Network Service や NetBackup Client Service などのサービスが「ローカルシステム」以外の管理者アカウントとして実行されている場合、その[ログオン]の値は変更されません。

クラウド保護ポリシーの変更

ユーザーが NetBackup 9.1 より前の環境から NetBackup 9.1 以降の環境にアップグレードすると、クラウド保護計画が変更されます。アップグレード前の環境に、異なる種類のクラウドプロバイダの複数のクラウド資産を含む保護計画が 1 つある場合、その計画はアップグレード後にクラウドプロバイダの種類ごとに 1 つの保護計画に分割されます。資産は、クラウドプロバイダの種類に基づいて、新しい保護計画間で分散されます。たとえば、Amazon、Azure、Google 資産を含む WeeklyBackups 保護計画があった場合、次のように分割されます。

  • WeeklyBackups: Amazon の資産のみが含まれます。

  • WeeklyBackups_azure: Azure の資産のみが含まれます。

  • WeeklyBackups_gcp: Google の資産のみが含まれます。

プライマリサーバーとメディアサーバーの後の NetBackup Snapshot Manager のアップグレード

アップグレードの目的では、環境に NetBackup Snapshot Manager がインストールされているコンピュータが含まれている場合、これらのコンピュータをクライアントとして扱います。具体的には、最初にプライマリサーバーをアップグレードします。次に、メディアサーバーをアップグレードします。メディアサーバーのアップグレード後にのみ、NetBackup Snapshot Manager コンピュータをアップグレードします。アップグレード順序と NetBackup のバージョンについて詳しくは、次を参照してください。

NetBackup のバージョン間の互換性についてを参照してください。

メディアサーバー重複排除プールのローリング変換

NetBackup 8.1 のアップグレードには、メディアサーバー重複排除プール (MSDP) のローリング変換が含まれています。

デフォルトでは、ローリング変換はシステムがビジー状態ではないときに実行されます。つまり変換は、バックアップ、リストア、CRQP、CRC チェック、圧縮などが非アクティブのときに実行されます。この変換では、通常のシステム操作への影響は予想されていません。ローリング変換が完了すると、変換後のシステムと新しいインストールの間で違いはありません。ローリング変換に関する詳しい情報を参照できます。

NetBackup 8.1 での MSDP のアップグレードの考慮事項を参照してください。

MSDP ローリングデータ変換についてを参照してください。

RBAC のセキュリティ管理者の指定

役割ベースのアクセス制御 (RBAC) を使用する場合は、セキュリティ管理者を指定する必要があります。詳細情報を参照できます。

NetBackup Web ユーザーインターフェースについてを参照してください。

『NetBackup Web UI 管理者ガイド』を参照してください。

NetBackup のインストールとアップグレードのための Web サービスのアカウントの追加

NetBackup 8.0 より、NetBackup プライマリサーバーには、重要なバックアップ操作をサポートするための構成済み Tomcat Web サーバーが含まれます。この Web サーバーは、権限が制限されているユーザーアカウント要素の下で動作します。これらのユーザーアカウント要素は、各プライマリサーバー (またはクラスタ化されたプライマリサーバーの各ノード) で使用できる必要があります。詳細情報を参照できます。

NetBackup プライマリサーバー Web サーバーのユーザーとグループの作成を参照してください。

メモ:

ベリタスは、NetBackup Web サービスに使用するユーザーアカウントの詳細を保存することを推奨します。プライマリサーバーのリカバリでは、NetBackup カタログのバックアップが作成されたときに使われたものと同じ NetBackup Web サービスのユーザーアカウントとクレデンシャルが必要です。

注意:

セキュアモードで NetBackup PBX を実行する場合は、Web サービスユーザーを PBX の権限を持つユーザーとして追加します。PBX モードの判別と、正しくユーザーを追加する方法について詳しくは、次をご覧ください。

http://www.veritas.com/docs/000115774

NAT が有効になっている Linux クラスタ化された NetBackup 8.2 のアップグレード

NAT が有効になっている NetBackup 8.2 Linux クラスタのアップグレードによって NAT の状態が誤って識別されます。その結果、10.3 へのアップグレード後に NAT は無効になります。NetBackup 10.3 へのアップグレードが完了したら、NAT を再度有効にする必要があります。アップグレード後の手順に、より詳しい情報が含まれています。

NetBackup 10.3 へのアップグレードのインストール後の手順を参照してください。

任意の btrfs ファイルシステムから NetBackup データベースへの移行

Veritas は、btrfs ファイルシステムでは NetBackup データベースのインストールまたはアップグレードをサポートしていません。NetBackup データベースが btrfs ファイルシステムに存在する場合、アップグレードを開始する前に、サポートされているファイルシステム (ext4 または xfs) にデータベースを移動します。データベースファイルは、プライマリサーバーのディレクトリ /usr/openv/db に存在します。アップグレード前のデータベースの移動について、詳しい情報を参照できます。NetBackup 10.3 へのアップグレードのプレインストール手順を参照してください。

NetBackup 8.2 以前からのアップグレードでの証明書キーサイズの環境変数

この情報は、8.2 以前の環境の NetBackup アップグレードに適用されます。

NetBackup は安全に通信するため、セキュリティ証明書を使用して NetBackup ホストを認証します。セキュリティ証明書は X.509 公開鍵基盤 (PKI) 標準に適合しています。NetBackup プライマリサーバーは、認証局 (CA) として動作し、ホストに電子証明書を発行します。NetBackup は、2048 ビット、3072 ビット、4096 ビット、および 8192 ビットの証明書キーサイズをサポートしています。

NetBackup 9.1 のアップグレードでは、キー強度が 2048 ビットの新しい root CA が配備されます。2048 ビットより大きい証明書キーサイズを使用するには、インストールを開始する前にプライマリサーバーの NB_KEYSIZE 環境変数を設定します。

例:

NB_KEYSIZE = 4096

NB_KEYSIZE に指定できる値は、2048、3072、4096、8192 のみです。

メモ:

プライマリサーバーで FIPS モードが有効になっている場合は、NB_KEYSIZE 環境変数の値として指定できるのは 2048 ビットまたは 3072 ビットのみです。

注意:

使用環境のキーサイズは慎重に選択する必要があります。大きいキーサイズを選択すると、パフォーマンスが低下する場合があります。使用環境に適したキーサイズを判断するには、あらゆる要素を考慮する必要があります。

CA の移行と証明書キーサイズについて詳しくは、『NetBackup セキュリティおよび暗号化ガイド』を参照してください。

表: アップグレード処理の概要はアップグレード手順の概要を示しています。

表: アップグレード処理の概要

手順

詳細

詳細情報

1

オペレーティングシステムの必要条件を見直し、コンピュータがすべての必要条件を満たしていることを確認します。

UNIX および Linux の場合のアップグレード要件を参照してください。

Windows および Windows クラスタのアップグレード要件を参照してください。

Windows クラスタのアップグレードの要件を参照してください。

2

Web サーバーのユーザーアカウントとグループアカウントが作成され、有効になっていることを確認します。

詳しくは以下を参照してください。

NetBackup プライマリサーバー Web サーバーのユーザーとグループの作成を参照してください。

3

アップグレード処理を開始する

プライマリサーバーのアップグレードについて を参照してください。