Veritas InfoScale™ 8.0.2 ソリューションガイド - Solaris
- 第 I 部 Veritas InfoScale の概要
- 第 II 部 Veritas InfoScale 製品のソリューション
- 第 III 部 IPv6 またはデュアルスタックへのスタックレベルの移行
- 第 IV 部 データベースのパフォーマンスの向上
- 第 V 部 PITC (Point-In-Time Copy) の使用
- 第 VI 部 ストレージ利用率の最大化
- 第 VII 部 データ移行
- データ移行の理解
- Solaris Volume Manager から Veritas Volume Manager へのオフライン移行
- ネイティブファイルシステムの VxFS ファイルシステムへのオンライン移行について
- ストレージアレイの移行
- プラットフォーム間のデータ移行
- CDS(Cross-Platform Data Sharing)機能の概要
- CDS のディスク形式とディスクグループ
- CDS(Cross-platform Data Sharing)を使用するためのシステムの設定
- システムの管理
- ディスクの操作
- ディスクグループの操作
- 情報の表示
- ファイルシステムに関する考慮事項
- Oracle ASM から Veritas File System への移行
- 第 VIII 部 Veritas InfoScale 4 K セクタのデバイスサポートのソリューション
Sybase 環境での Cached Quick I/O の動作
Cached Quick I/O は、32 ビット版 Sybase サーバーに特に適した、特殊な外部キャッシュ機構です。 Cached Quick I/O は Sybase サーバーの 64 ビットポートでも使えますが、特に利点はありません。 Cached Quick I/O は、dataserver バッファキャッシュが不十分なために物理ディスク I/O が不適切な量となっているデータファイルに対して、選択的に適用できます。 Cached Quick I/O は、オペレーティングシステムの必要とするメモリが確保され、Sybase dataserver バッファキャッシュが 32 ビット仮想アドレス領域内で許容される最大容量にサイジングされるようにメモリが確保された後、残っている利用可能な物理メモリを利用する機能です。 この有効利用されるメモリは、ファイルデータを格納するためのキャッシュの代わりとなり、dataserver バッファキャッシュを補助する 2 次レベルキャッシュとして効果的に機能します。
たとえば、システムが 12 GB の物理メモリで設定されており、オペレーティングシステムが 1 GB を使い、Sybase の合計サイズが 3.5 GB である場合を考えてみます。システム上で他のアプリケーションを動作させない場合、メモリの残り 7.5 GB は未使用です。Cached Quick I/O を有効にすると、この残りの 7.5 GB がデータベースファイルのキャッシュとして利用可能になります。
メモ:
利用可能なメモリの中から特定の量のみを Cached Quick I/O に割り当てることはできません。有効に設定された Cached Quick I/O は、利用可能なメモリを使います。
ただし、Cached Quick I/O はデータベース内のすべてのデバイスファイルに対して効果を発揮するわけではありません。 すべてのデータベースデバイスファイルのキャッシングをオンにすると、追加メモリ管理のオーバーヘッド(二重バッファコピー)によってパフォーマンスが低下する場合があります。 ファイル I/O 統計を使って、キャッシングによる個々のデータベースデバイスファイルの有効性を判別してから、個々のデバイスファイルに対して Cached Quick I/O を有効または無効に設定する必要があります。
データベースに負荷を与えるアプリケーションと、その負荷が 1 日の全時間帯でどのように変わるかについて理解すると、Cached Quick I/O を使って最大限のパフォーマンスを実現できます。1 日のさまざまな時間帯でファイルごとに Cached Quick I/O を有効または無効に設定することにより、Cached Quick I/O を使って動的にデータベースのパフォーマンスをチューニングできます。
たとえば、履歴データを格納するファイルは、一般に、トランザクション処理環境では通常の業務時間帯に使われません。この履歴データを利用するレポートは、通常、対話型のデータベースが最も使われない、オフピーク時間帯に実行されます。通常の業務時間帯では、その他のユーザーアプリケーションが利用可能なメモリを最大限に使うため、履歴データを格納するデータベースファイルに対して Cached Quick I/O を無効に設定します。また、オフピーク時間帯では、レポート作成に使われる同じデータベースファイルに対して Cached Quick I/O を有効に設定します。これで、データベース設定パラメータを変更しないで、追加メモリリソースをデータベースサーバーに提供できます。このようにファイルシステムの先読みを有効に設定し、読み取りデータをバッファリングすることにより、大容量の順次スキャンにおいて、特に大きなパフォーマンス上の効果が得られる場合があります。
スクリプトを使うことによって、ファイルごとの Cached Quick I/O の有効および無効化を自動的に設定できます。また、レポートを作成する同じジョブでも、ファイルシステムの動作をチューニングしたり、システムリソースを最大限に利用できます。異なるジョブに対して別のファイルセットを指定して、ファイルシステムおよびデータベースのパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。