Veritas Backup Exec 管理者ガイド
- Backup Exec の概要
- インストール
- Agent for Windows のインストールの方法
- Remote Administrator のインストール
- コマンドラインを使用した Backup Exec のインストール (サイレントモード)
- Backup Exec のライセンス契約の情報
- Backup Exec へのアップグレードについて
- はじめに
- バックアップ
- データのバックアップ
- リストア
- Backup Exec カタログの働き
- ジョブの管理と監視
- アラートと通知
- [ホーム]タブでのアクティブアラートとアラート履歴表示の有効化
- アラート通知を受け取る受信者グループの追加
- ジョブが完了したときの通知の送信
- Backup Exec アラートの SNMP トラップ
- ディスクベースとネットワークベースのストレージ
- クラウドベースのストレージデバイス
- 以前のディスクへのバックアップフォルダ
- テープストレージ
- Backup Exec のロボットライブラリ
- ロボットライブラリのパーティションの作成
- テープの管理
- テープメディアのラベル付け
- デフォルトのメディアボルト
- ストレージデバイスプール
- ストレージ操作
- 仮想マシンへの変換
- 構成と設定
- ファイアウォールでの Backup Exec の使用
- DBA 開始ジョブテンプレートの削除
- Backup Exec ログオンアカウント
- レポート
- カスタムレポートの作成
- Backup Exec の標準レポートのリスト
- Backup Exec のトラブルシューティング
- SAN で障害が発生したコンポーネントのトラブルシューティング
- Backup Exec のトラブルシューティングの診断ファイルの生成
- クラスタ環境での Backup Exec の使用
- Backup Exec と Microsoft Cluster Server の構成
- クラスタのディザスタリカバリ
- Simplified Disaster Recovery
- ディザスタリカバリ情報ファイルの代替の格納場所の設定と変更
- Simplified Disaster Recovery ディスクイメージの作成
- Simplified Disaster Recovery を使用した障害からのリカバリ準備
- Simplified Disaster Recovery を使用したコンピュータのリカバリ
- Veritas™ Information Map との統合
- 付録 A. Veritas Backup Exec Agent for Windows
- Backup Exec Agent ユーティリティ for Windows について
- 付録 B. Veritas Backup Exec Deduplication Option
- 重複排除用ディスクストレージの作成またはインポート
- ダイレクトアクセス共有のためのストレージデバイスの選択
- 付録 C. Veritas Backup Exec Agent for VMware
- VMware 仮想マシンのバックアップ
- VMware 仮想マシンのインスタントリカバリについて
- VMware 仮想マシンのリカバリ検証について
- 付録 D. Veritas Backup Exec Agent for Microsoft Hyper-V
- Microsoft Hyper-V 仮想マシンのバックアップ
- Hyper-V 仮想マシンのインスタントリカバリについて
- Hyper-V 仮想マシンのリカバリ検証について
- 付録 E. Veritas Backup Exec Agent for Microsoft SQL Server
- SQL データベースとトランザクションログのバックアップ
- SQL データベースとトランザクションログのリストア
- SQL Server のディザスタリカバリ
- 付録 F. Veritas Backup Exec Agent for Microsoft Exchange Server
- Exchange データのバックアップ
- 付録 G. Veritas Backup Exec Agent for Microsoft SharePoint
- Microsoft SharePoint データのバックアップ
- 付録 H. Veritas Backup Exec Agent for Oracle on Windows or Linux Servers
- Windows コンピュータおよび Linux サーバーでの Oracle Agent の設定
- Windows コンピュータでの Oracle インスタンスの設定
- Windows コンピュータでの Oracle インスタンスの表示
- Backup Exec サーバーの認証クレデンシャルについて
- Oracle データベースのバックアップについて
- Oracle リソースのリストアについて
- 付録 I. Veritas Backup Exec Agent for Enterprise Vault
- Enterprise Vault バックアップジョブのバックアップ方式について
- Enterprise Vault の復元
- Backup Exec Migrator for Enterprise Vault について
- Backup Exec Migrator の設定
- 移行された Enterprise Vault データの取り込みについて
- Partition Recovery Utility について
- 付録 J. Veritas Backup Exec Agent for Microsoft Active Directory
- 付録 K. Veritas Backup Exec Central Admin Server Option
- Central Admin Server Feature のインストールについて
- CAS 通信のしきい値に到達した場合に発生する事項
- CAS でのジョブの委任について
- CAS で Backup Exec サーバープールを使用する方法
- CAS での集中リストアの動作
- 付録 L. Veritas Backup Exec Advanced Disk-based Backup Option
- 付録 M. Veritas Backup Exec NDMP Option
- リストアと NDMP サーバーのリストアデータのリストア先変更について
- NDMP サーバーのプロパティの表示
- NDMP サーバーのストレージプロパティの表示
- 付録 N. Veritas Backup Exec Agent for Linux
- Agent for Linux のインストールについて
- Backup Exec サーバーリストでのリモート Linux コンピュータの信頼の確立について
- Linux コンピュータの設定オプションの編集
- Agent for Linux を使用した Linux コンピュータのバックアップについて
- Linux コンピュータへのデータのリストアについて
- Linux コンピュータのデフォルトのバックアップジョブオプションの編集
- Agent for Linux のアンインストール
- 付録 O. Veritas Backup Exec Remote Media Agent for Linux
- Remote Media Agent for Linux のインストールについて
- Backup Exec サーバーリストでの Remote Media Agent for Linux コンピュータの信頼の確立について
- Remote Media Agent for Linux の Backup Exec オペレータ (beoper) グループについて
- Remote Media Agent for Linux としての Linux サーバーの追加について
- Remote Media Agent for Linux のプロパティの編集
- シミュレートテープライブラリの作成
- シミュレートテープライブラリのプロパティの表示
- 付録 P. Backup Exec のアクセシビリティ
- Backup Exec のキーボードショートカットについて
Granular Recovery Technology
Granular Recovery Technology (GRT) を使ってバックアップセットから特定の個々の項目をリストアすることができます。 たとえば、Agent for Microsoft Exchange Server を使用することで、メールボックス全体をリストアしなくても、バックアップから電子メールをリストアできます。 または、サイト全体をリストアしないでリストをリストアするために Agent for Microsoft SharePoint を使うことができます。
個々の項目をリストアするには、バックアップジョブを作成するときに Granular Recovery Technology 機能を有効にする必要があります。
デフォルトでは、GRT は次のエージェントのバックアップ用に有効になります。
Agent for Microsoft Active Directory
Agent for Microsoft Exchange Server
Agent for Microsoft SharePoint
Agent for VMware and Hyper-V
GRT 対応バックアップからはバックアップセット全体または個々の項目のいずれかをリストアできます。
デフォルトで、Agent for VMware and Hyper-V は Granular Recovery Technology を使用して、より詳細なレベルでファイルとフォルダを保護します。 また、仮想マシン上の Microsoft Exchange、SharePoint、Active Directory アプリケーションデータを個別にリカバリすることもできます。
データのバックアップ時に、Backup Exec ではバックアップセットと、バックアップセットが格納されるストレージデバイスについての情報が含まれたカタログを作成します。 GRT 対応バックアップジョブでは、カタログに含まれる詳細な個別の情報の量のためにカタログの作成により多くの時間を必要とします。 GRT 対応バックアップジョブの場合、デフォルトでは、バックアップ時間帯に影響を与えないように、このカタログ登録操作は延期されて別の操作として実行されます。 カタログ登録操作がバックアップジョブとは別に実行されるため、他のスケジュール済みバックアップジョブが時間どおりに開始することをこのバックアップジョブが妨げることはありません。
Microsoft Exchange、Microsoft SharePoint、Microsoft Hyper-V、VMware の各バックアップで GRT を有効にすると、完全カタログ登録操作はデフォルトではバックアップジョブの直後に実行されます。
Exchange と SharePoint のエージェントベースバックアップについては、完全カタログ登録操作はすべての完全バックアップの直後に実行されます。すべての増分バックアップと差分バックアップについては、完全カタログ登録操作は 24 時間ごとに一度実行されます。これは、対象の 24 時間の間に複数の GRT 対応ジョブを実行するようにスケジュール設定した場合でも同様です。
Hyper-V と VMware のバックアップについては、完全カタログ登録操作はデフォルトでは完全、増分、差分のすべてのバックアップの直後に実行されます。
完全カタログ登録操作をバックアップジョブの直後に実行しない場合は、スケジュールどおりに実行されるように設定できます。また、バックアップジョブの一部として実行するインスタント GRT 操作を実行することもできます。
GRT 対応ジョブのバックアップパフォーマンスを改善するためにインスタント GRT と完全カタログ登録オプションの設定を参照してください。
次の表に、各エージェントに対してリストアできる個々の項目を示します。
表: 各エージェントに対してリカバリできる個々の項目
エージェント | 個々の項目 |
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Agent for Microsoft Active Directory | 次の個々の項目をリストアできます。
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Agent for Microsoft Exchange Server | 次の個々の項目をリストアできます。
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Agent for Microsoft SharePoint | リストアできる個々の項目の例を次に示します。
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Agent for VMware and Hyper-V | Windows オペレーティングシステムを実行する仮想マシンからドライブ、フォルダとファイルをリストアできます。 また、仮想マシン上の Microsoft Exchange、SQL、SharePoint、Active Directory アプリケーションデータを個別にリカバリすることもできます。 Agent for VMware とともに GRT (Granular Recovery Technology) を使うを参照してください。 |
GRT 対応バックアップジョブを実行すると、Backup Exec は IMG という接頭辞を付けたメディア (IMG00001 など) を作成します。 IMG メディアは、Backup Exec が GRT 対応のバックアップ操作専用に作成する特別なメディアタイプです。 GRT 対応バックアップジョブを実行すると、IMG メディアにバックアップデータが格納されます。
メモ:
GRT 対応バックアップジョブではソフトウェア圧縮または暗号化を使用しないことをお勧めします。圧縮処理と暗号化処理はリソースを大量に消費します。 ソフトウェア圧縮または暗号化を有効にすると、GRT 対応バックアップジョブのパフォーマンスが低下する可能性があります。
始める前に GRT 対応バックアップに使うデバイスについて検討してください。 またバックアップするデータの種類に関する特別な必要条件についても検討してください。
GRT (Granular Recovery Technology) を使用することができるバックアップにはディスクストレージデバイスを選択することをお勧めします。ディスクストレージデバイスはファイルサイズの制限がないボリュームに置く必要があります。 ファイルサイズの制限がないボリュームの例としては、NTFS ドライブがあります。 ファイルサイズの制限があるボリュームの例としては、FAT ボリューム、FAT32 ボリュームなどがあります。
メモ:
ディスクデバイス、重複排除デバイス、およびディスクカートリッジデバイスに送信された GRT 対応のバックアップジョブの暗号化を有効にすると、Backup Exec は詳細バックアップセットを暗号化された形式でディスクに格納しません。GRT 非対応のバックアップソースのバックアップセットのみが暗号化型式で格納されます。 クラウド、OpenStorage、およびテープデバイスに送信されるバックアップジョブのすべてのバックアップセットは、暗号化型式で格納されます。
ファイルサイズの制限があるボリューム上でディスクストレージデバイスを使う必要がある場合、Backup Exec ではステージングの場所が必要です。 Backup Exec はバックアップジョブの実行中に少しのメタデータをステージングの場所に一時的に格納します。 バックアップが終了したら、ステージングの場所からデータを削除します。 ただし、ファイルサイズの制限がないボリューム上のディスクストレージデバイスを宛先として使う場合、ステージングの場所は必要ありません。
ステージングの場所のデフォルトのパスは C:\temp です。
バックアップジョブのステージングの場所に使われるボリュームは次の必要条件を満たす必要があります。
Backup Exec サーバーに対してローカルである
ファイルサイズの制限がない
さらに、ディスク容量の問題を避けるために次の条件を満たすこともお勧めします。
システムボリュームではない
利用可能な領域が少なくとも 1 GB ある
Backup Exec はファイルサイズの制限があるボリューム上のディスクストレージデバイス、またはテープから GRT 対応データをリストアする場合もステージングの場所を使います。 ステージングの場所はファイルサイズの制限がなく、Backup Exec サーバーに対してローカルであるボリュームでなければなりません。 NTFS などのファイルサイズの制限がないボリューム上のディスクストレージから GRT 対応データをリストアする場合、ステージングの場所は必要ありません。
Backup Exec は次の種類のリストアではステージングエリアを異なる方法で使います。
表: ステージングの処理
リストア対象のデータがある場所 | ステージングの処理 |
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テープ | Backup Exec はバックアップセット全体をステージングエリアにコピーします。 ステージングエリアには個々の項目のリストア元のバックアップセット全体に対応する十分なディスク領域が必要です。 GRT 対応バックアップにテープデバイスを使う前に、リストアの実行に十分なディスク領域が利用可能であることを確認します。 リストアのジョブが完了すると、Backup Exec はステージングエリアからデータを削除します。 |
クラウド | Backup Exec は、クラウドストレージデバイスから GRT 対応データをリストアするためにステージング場所を使用します。 Backup Exec はバックアップセット全体をステージングエリアにコピーします。 ステージングエリアには個々の項目のリストア元のバックアップセット全体に対応する十分なディスク領域が必要です。 GRT 対応バックアップにクラウドストレージデバイスを使用する前に、リストアを実行するのに十分なディスク容量があることを確認してください。 リストアのジョブが完了すると、Backup Exec はステージングエリアからデータを削除します。 |
ファイルサイズの制限があるボリューム上のディスクストレージデバイス(FAT、FAT32 など) | Backup Exec は、リストアを完了するためにバックアップセットに関連付けられている少しのメタデータをステージングエリアにコピーする必要があります。 リストアのジョブが完了すると、Backup Exec はステージングエリアからデータを削除します。 |
ステージングの場所のデフォルトのパスは C:\temp です。 Backup Exec 設定で、デフォルトのバックアップ用およびリストア用のステージングの場所を変更できます。
リストにあるエージェントで Granular Recovery Technology (GRT) を使うときは次の必要条件に留意します。
表: Granular Recovery Technology の必要条件
エージェント | 制限事項 |
---|---|
Agent for Microsoft Active Directory | Windows Server 2012 R2 を実行している Backup Exec サーバーを使って、Windows Server 2012 R2 を実行している Active Directory サーバーのバックアップを作成する必要があります。 CAS 環境では、集中管理サーバーで Windows Server 2012 R2 を実行していて、そのストレージがローカルに設定されている場合、Backup Exec はその集中管理サーバー上でバックアップジョブを実行します。 それ以外の場合、Backup Exec では、Windows Server 2012 R2 を実行している管理対象 Backup Exec サーバーを見つけてバックアップジョブの実行を試みます。 Backup Exec でそのような管理対象 Backup Exec サーバーを見つけられない場合、バックアップジョブは[成功 (例外処理あり)]という状態で完了し、バックアップセットは GRT 対応になりません。 Active Directory サーバーが仮想マシンの場合、Backup Exec ではサーバーが Windows Server 2012 R2 を実行していることを検出できないことがあります。 バックアップ結果に GRT を使えないことがあります。 |
Agent for Microsoft Exchange Server | Backup Exec は、インフォメーションストアのバックアップおよびリストアを行うために、Exchange 組織内に存在する一意の名前のメールボックスへのアクセスが可能である必要があります。 Exchange メールボックスにアクセスするための必要条件 を参照してください。 Backup Exec は、GRT が有効化された Exchange のバックアップ用のデフォルトのステージング場所として、ファイルサイズの制限がなく、Backup Exec サーバーに対してローカルであるディスクストレージボリュームを使用します。 Backup Exec は、GRT 操作を実行するにはデータベースログと同じディスクジオメトリを使用するディスクが必要なため、デフォルトのバックアップオプションで設定した場所以外のステージング場所を使うことがあります。 ただし、場所はその操作に必要なパフォーマンスや利用可能なディスク容量に影響を与えることはありません。 リソースへの影響を最小限に抑えるには、ステージングエリアとして、物理ボリュームの代わりに VHD ファイルまたは VHDX ファイルを作成できます。 VHD または VHDX ファイルを大容量セクタボリュームとして設定し、サイズが少なくとも 1GB であること確認します。 次に VHD ファイルまたは VHDX ファイルをディレクトリにマウントします。 Backup Exec は、大容量セクタドライブに存在するデータをバックアップするためのステージングエリアが必要な場合、自動的に仮想ボリュームを検出します。 |
Agent for Microsoft SharePoint | SharePoint ファームに含まれているすべてのサーバーに現在のバージョンの Agent for Windows をインストールしておく必要があります。 |
Agent for VMware and Hyper-V | Windows オペレーティングシステムを実行する仮想マシンには個々の項目のみリカバリできます。 デフォルトで、Agent for VMware and Hyper-V は Granular Recovery Technology を使用して、より詳細なレベルでファイルとフォルダを保護します。 また、仮想マシン上の Microsoft Exchange、SQL、SharePoint、Active Directory アプリケーションデータを個別にリカバリすることもできます。 仮想マシンをテープにバックアップする場合、[カタログ]設定でオプションの[ストレージベースのカタログを使用する]を有効にして、バックアップセットから個々の項目をリカバリできるようにする必要があります。 カタログのデフォルトオプションの設定を参照してください。 |