Veritas InfoScale™ 7.4 仮想化ガイド- Linux
- 第 I 部 Linux 仮想化で使う Veritas InfoScale Solutions の概要
- 第 II 部 基本 KVM 環境の実装
- 基本 KVM のスタートガイド
- カーネルベースの仮想マシン環境の Veritas InfoScale Solutions 設定オプション
- KVM(カーネルベースの仮想マシン)環境の Cluster Server のインストールと設定
- KVM リソースの設定
- 基本 KVM のスタートガイド
- 第 III 部 RedHat Enterprise Virtualization 環境の実装
- RHEV(Red Hat Enterprise Virtualization)のスタートガイド
- RHEV 環境のための Veritas InfoScale Solutions 設定オプション
- 仮想マシンを管理する VCS の設定
- 仮想マシンのバックエンドストレージとしての Storage Foundation の設定
- 仮想マシンのバックエンドストレージとしての Storage Foundation の設定
- RHEV(Red Hat Enterprise Virtualization)のスタートガイド
- 第 IV 部 Linux 仮想化実装の使用例
- アプリケーションの可視性とデバイス検出
- サーバー統合整理
- 物理から仮想への移行
- 簡素化した管理
- Cluster Server を使用するアプリケーションの可用性
- 仮想マシンの可用性
- ライブ移行を使った仮想マシンの可用性
- Red Hat Enterprise Virtualization 環境での仮想から仮想へのクラスタ化
- Microsoft Hyper-V 環境での仮想から仮想へのクラスタ化
- OVM(Oracle Virtual Machine)環境での仮想から仮想へのクラスタ化
- Red Hat Enterprise 仮想化環境での仮想化マシンに対するディザスタリカバリ
- Volume Replicator(VVR)と Veritas File Replicator(VFR)を使用するボリュームとファイルシステムの障害回復
- 多層型ビジネスサービスのサポート
- Docker コンテナと InfoScale Enterprise の管理
- Docker、Docker Daemon、および Docker Container 用の Cluster Server エージェントについて
- Docker コンテナのストレージ容量の管理
- Docker コンテナのオフライン移行
- Docker 環境におけるボリュームとファイルシステムのディザスタリカバリ
- 第 V 部 参照
- 付録 A. トラブルシューティング
- 付録 B. 設定例
- 付録 C. 詳しい情報の入手先
- 付録 A. トラブルシューティング
KVMGuest エージェントについて
KVMGuest エージェントは、VCS( Cluster Server)による KVM ゲスト(KVM 環境または RHEV(Red Hat Enterprise Virtualization)環境の仮想マシン)の監視を可能にします。このエージェントは、仮想マシンのオンライン化およびオフライン化などのタスクを実行します。KVMGuest エージェントは、KVM 環境と RHEV 環境の両方で動作します。ここでは、RHEV 環境での動作について説明します。
オープンソース KVM 環境または RHEV 環境での KVMGuest エージェントの動作について詳しくは『 Cluster Server 付属エージェントリファレンスガイド』を参照してください。
KVMGuest エージェントでは、virsh コマンドを使って KVM 環境および REST(Representational State Transfer)API を管理し、REST API を使って RHEV 環境の仮想マシンを管理して、仮想マシンの状態を判別します。このエージェントは仮想マシンの状態に基づいてリソースの状態を判断します。REST 設計アーキテクチャは、一部の特定のサービスのリソースとその表現に焦点を合わせています。REST API は、ソフトウェアの開発者および管理者が、RHEV 環境の機能を、カスタムスクリプトまたは HTTP によって API にアクセスする外部アプリケーションと統合するのに役立ちます。
REST API を使って RHEV 環境の仮想マシンを管理するための前提条件
REST API を含む Red Hat Enterprise Virtualization Manager のネットワークインストール
REST API から HTTP 要求を開始し、受信するクライアントまたはプログラミングライブラリ
次の表に、RHEV 環境の仮想マシンの状態と、対応する VCS リソースの状態の一覧を示します。
表:
仮想マシンの状態 |
VCS リソースの状態 |
リソースの信頼度 |
---|---|---|
wait_for_launch |
ONLINE |
10 |
powering_up |
ONLINE |
60 |
up |
ONLINE |
100 |
powering_down |
ONLINE |
40 |
paused |
ONLINE |
20 |
down |
OFFLINE |
- |
saving_state |
INTENTIONAL OFFLINE |
- |
suspended |
INTENTIONAL OFFLINE |
- |
restoring_state |
ONLINE |
50 |
migrating |
INTENTIONAL OFFLINE |
- |
reboot_in_progress |
INTENTIONAL OFFLINE |
- |
image_locked |
UNKNOWN |
- |
不明 |
UNKNOWN |
- |
表: KVMGuest エージェントの関数
機能 |
タスク |
---|---|
Online |
KVM 環境: エージェントは virsh start コマンドを使用してゲスト仮想マシンを開始します。リソースがゲスト設定を定義するように設定されている場合、エージェントは virsh define コマンドを使用してオンライン化するときに仮想マシンを定義します。 RHEV 環境: エージェントは REST API を使用して仮想マシンを開始します。DROpts 属性を設定してゲストネットワークを構成している場合は、エージェントはペイロードも cdrom として設定します。このペイロードには、DR フェールオーバー後にゲスト内に設定されるネットワークパラメータが含まれています。 エージェントは、仮想マシンが開始した後、特定の時間待機します。「DelayAfterGuestOnline」属性を使って、この待機時間を指定できます。 エージェントは、DROpts 属性を調べて、仮想マシンにディザスタリカバリが設定されているかどうかも確認します。この属性が正しく設定されている場合、エージェントは仮想 CDROM を仮想マシンの設定に挿入します。この CDROM には、サイトで仮想マシンに適用されるサイト固有のネットワークパラメータを含むファイルが含まれています。仮想マシンのブート時に、ゲスト内にインストールされている vcs-net-reconfig サービスが CDROM とディザスタリカバリ情報を確認します。vcs-net-reconfig サービスは、ディザスタリカバリ情報を検出すると、ネットワークパラメータを仮想マシンに適用します。 |
Offline |
Offline 関数は、仮想マシンの段階的な終了を開始します。 KVM 環境: エージェントは virsh shutdown コマンドを使用してゲスト仮想マシンをシャットダウンします。ゲスト仮想マシン設定ファイルを同期するように SyncDir 属性を設定した場合、この設定ファイルは SyncDir 属性として設定された場所にコピーされます。 RHEV 環境: エージェントは REST API を使用して仮想マシンをシャットダウンします。 エージェントは、仮想マシンのシャットダウンの開始後、仮想マシンが完全に停止するまで、特定の期間待機します。「DelayAfterGuestOffline」属性を使って、この待機時間を指定できます。 |
Monitor |
KVM 環境: エージェントは virsh domstate コマンドを使用してゲスト仮想マシンの状態を判断します。 RHEV 環境: エージェントは REST API を使用して仮想マシンの状態を取得します。 |
Clean |
KVM 環境: エージェントは virsh destroy コマンドを使用してゲスト仮想マシンを強制的にシャットダウンします。ゲスト仮想マシン設定ファイルを同期するように SyncDir 属性を設定した場合、この設定ファイルは SyncDir 属性として設定された場所にコピーされます。 RHEV 環境: エージェントは REST API を使用して仮想マシンを停止します。 |
Migrate |
KVM 環境: エージェントが virsh migrate コマンドを使って仮想マシンの移行を開始します。 RHEV 環境: エージェントが REST API を使って仮想マシンの移行を開始します。さらに、その仮想マシンの移行が許可されているかどうかを確認します。 メモ: 仮想マシンがディザスタリカバリ用に設定されている場合は、複数のサイトにまたがってその仮想マシンを移行することはできません。 |
KVMGuest エージェントは、次のリソースの状態を認識します。
表:
リソースの状態 |
説明 |
---|---|
ONLINE |
ゲスト仮想マシンが実行中であることを示します。 |
OFFLINE |
ゲスト仮想マシンが停止したことを示します。 |
FAULTED |
ゲスト仮想マシンの起動に失敗したか、または予想外に停止したことを示します。 |
UNKNOWN |
設定に問題があるか、またはリソース監視機能に問題があることを示します。 |
INTENTIONAL OFFLINE |
仮想マシンが別の物理ホストに移行されたか、または仮想マシンが管理者によって意図的に一時停止されたかのいずれかを示します。 |
KVM 環境または RHEV 環境の仮想マシンを管理する Cluster Server エージェントは、KVMGuest のリソースタイプ定義として表されます。
type KVMGuest ( static int IntentionalOffline = 1 static boolean AEPTimeout = 1 static int MigrateTimeout = 300 static int MigrateWaitLimit = 2 static keylist SupportedActions = { "guestmigrated", "vmconfigsync", "DevScan" } static keylist SupportedOperations = { "migrate"} static keylist RegList = { "GuestName", "DelayAfterGuestOnline", "DelayAfterGuestOffline", "RHEVMInfo", "DROpts" } static str ArgList[] = { GuestName, DelayAfterGuestOnline, DelayAfterGuestOffline, SyncDir, GuestConfigFilePath, CEInfo, RHEVMInfo, ResyncVMCfg, DROpts } str CEInfo{} = { Enabled=0, CESystem=NONE, FaultOnHBLoss=1 } str RHEVMInfo{} = { Enabled=0, URL=NONE, User=NONE, Password=NONE, Cluster=NONE, UseManualRHEVMFencing=0 } str GuestName int DelayAfterGuestOnline = 5 int DelayAfterGuestOffline = 30 str SyncDir str GuestConfigFilePath boolean ResyncVMCfg = 0 str DROpts{} = { ConfigureNetwork=0, IPAddress=NONE, Netmask=NONE, Gateway=NONE, DNSServers=NONE, DNSSearchPath=NONE, Device=NONE } )
RHEVMInfo 属性により、KVMGuest 属性設定で Red Hat Enterprise Virtualization 環境をサポートできます。RHEVMInfo は、RHEV 環境に関する次の情報を指定します。
属性値 |
説明 |
---|---|
Enabled |
仮想化環境が KVM 環境または RHEV(Red Hat Entprise Virtualization)環境のいずれかであるかを指定します。 0 は KVM 環境を示します。 1 は RHEV 環境を示します。 デフォルト値は 0 です。 |
URL |
KVMGuest エージェントが REST API 通信に使うことができる RHEV-M URL を指定します。API はセキュリティで保護されたポート(SSL)とのみ通信できます。次に例を示します。 https://rhevm-server.example.com:443 |
ユーザー |
エージェントが REST API 通信に必要な RHEV-M ユーザー名を指定します。次に例を示します。 admin@internal rhevadmin@example.com |
パスワード |
RHEVM ユーザープロファイルと関連付けられる暗号化パスワードを指定します。パスワードを暗号化するには 詳しくは、『Cluster Server 管理者ガイド』を参照してください。 |
Cluster |
VCS のホストが属する RHEV-M クラスタの名前を指定します。 |
UseManualRHEVMFencing |
仮想マシンが動作する物理ホストでクラッシュが発生した場合に、手動 RHEV-M フェンシングを有効にするかどうかを指定します。 0 は手動 RHEV-M フェンシングが無効であることを示します。 1 は手動 RHEV-M フェンシングが有効であることを示します。 デフォルト値は 0 です。 |
DROpts 属性は、仮想マシンのディザスタリカバリを有効にします。この属性は仮想マシンのサイト固有のネットワークパラメータを含んでいます。この属性の値は、仮想マシンのディザスタリカバリオプションを定義する次のキーで構成されます。
属性キー |
説明 |
---|---|
DNSSearchPath |
このサイトの仮想マシンが使うドメイン検索パス。このキーの値には、ホスト名のドメイン名が指定されていない場合に、ホスト名の DNS ルックアップに使用される DNS のドメイン名のリストが含まれる必要があります。ドメイン名を区切るにはスペースを使います。 |
DNSServers |
このサイトの仮想マシンが使う DNS サーバーのリスト。このキーの値には、ホスト名の DNS ルックアップに使用される DNS サーバーの IP アドレスのリストが含まれる必要があります。IP アドレスを区切るにはスペースを使います。 |
Gateway |
このサイトの仮想マシンが使うデフォルトゲートウェイ。 |
Device |
このサイトの仮想マシンの排他的 IP アドレス専用のネットワークインターフェースカード(NIC)。このキーを指定しない場合、エージェントは IP アドレスの割り当ての最初の専用 NIC(指定されている場合)を自動的に選択します。例: eth0. |
IPAddress |
クロスサイトフェールオーバーの後に、このサイトの仮想マシンに割り当てられる IP アドレス。 |
Netmask |
クロスサイトフェールオーバーの後に、このサイトの仮想マシンが使うネットマスク。 |
ConfigureNetwork |
このキーを 1 に設定した場合のみ、DROpts 属性値が仮想マシンに適用されます。データ形式と値のタイプ: 文字列 - 関連。 |
メモ:
KVMGuest エージェントに関連付けられているその他の属性について詳しくは、『 Cluster Server 付属エージェントリファレンスガイド』を参照してください。