Veritas InfoScale™ 8.0.2 インストールガイド - Linux
- 第 I 部 計画および準備
- Veritas InfoScale の概要
- Veritas InfoScale のライセンス
- システム必要条件
- インストール準備
- プライベートネットワークの設定
- 共有ストレージの設定
- SF Oracle RAC システムのインストール手順の計画
- セキュアブート環境での配備の準備
- 第 II 部 Veritas InfoScale のインストール
- 第 III 部 Veritas InfoScale のアンインストール
- 第 IV 部 インストールの参考情報
-yum オプションを指定したインストーラを使用した Veritas InfoScale のインストールまたはアップグレード
InfoScale 8.0 以降では、共通製品インストーラで yum コマンドを使用し、Red Hat および Oracle Linux で実行している InfoScale 8.0 をインストールまたはアップグレードできます。
yum は、InfoScale パッケージのインストール、更新、削除、および管理のために使用できる、コマンドラインパッケージ管理ツールです。InfoScale パッケージのインストール、更新、および削除の際に、yum によって依存関係の解決が実行されます。また、システムにインストールされているリポジトリまたは InfoScale の .rpm パッケージからパッケージを管理することもできます。InfoScale のインストールとアップグレードでは、次の新しいオプションがサポートされています。
-yum
-matrixpath
-upgradestart
-upgradestop
メモ:
新しいインストーラオプションは InfoScale 8.0 でのみサポートされます。以前のバージョンから 8.0.2 にアップグレードできます。アップグレードがサポートされるバージョンは、7.4.1、7.4.2、8.0 です。
開始する前に
yum の構成、および InfoScale のインストールまたはアップグレードを開始する前に、次のことを確認してください。
最初に、InfoScale を開発環境または UAT 環境に配備します。これは本番環境にできるだけ近い環境です。その環境でテストを実行し、現在の配備が非互換の状態になっていないことを確認します。
本番システムの必要なバックアップとスナップショットを作成し、ロールバック計画を確立します。
インストールまたはアップグレード
yum ベースのインストールまたはアップグレードには 2 つの方法があります。インストーラで -yum オプションを使うか、直接または手動の yum メソッドを使うことができます。
インストーラでの yum オプションの使用
yum インストーラオプションを使用して InfoScale をインストールするための構文と例を以下に示します。次のいずれかの yum インストールコマンドを実行した後、インストーラスクリプトによって表示されるメニューから、[製品のインストール (Install a product)]または[製品のアップグレード (Upgrade a product)]オプションを選択します。
構文:
./installer -yum [repo_name | repo_url]
リポジトリ名を使用した yum インストールの例:
./installer -yum repo-Infoscale802
リポジトリ URL を使用した yum インストールの例:
./installer -yum http://xyz.com/rhel8_x86_64/rpms/
注意:
-yum オプションを指定してリポジトリの URL を引数として渡す場合、yum リポジトリを手動で設定する必要はありません。CPI インストーラは各ノードにリポジトリを作成します。リポジトリ URL は yum リポジトリの設定時にリポジトリファイルで指定するベース URL で、ベース URL 属性の値は http://、ftp:/、file:///、または sftp:/ で始まります。
-yum オプションを指定してリポジトリ名を引数として渡した場合、CPI インストーラは、リポジトリがすでに設定済みでノードで有効になっていると想定するため、リポジトリを設定する必要はありません。リポジトリ名を使用し、リポジトリがまだ設定されていない場合、CPI インストーラは適切なエラーで終了します。
-yum と -patch_path オプションを -matrixpath と一緒に使用する
RPM ファイルを使用した InfoScale の GA アップグレードとともにパッチインストールまたはパッチアップグレードを実行するための構文と例を以下に示します。
メモ:
次のいずれかの yum インストールコマンドを実行した後、インストーラスクリプトによって表示されるメニューから、[製品のインストール (Install a product)]または[製品のアップグレード (upgrade a product)]オプションを選択します。
構文:
./installer -yum [repo_name | repo_url] -patch_path [repo_name | repo_url] -matrixpath
パッチインストールまたはパッチアップグレードの実行例
./installer -yum repo-Infoscale802 -patch_path repo-Infoscale802P -matrixpath /root/patch_matrix
このコマンドを実行するときに、コマンドにリリースマトリックスデータパスを入力する必要があります。マシンに SORT 接続がなく、-yum オプションと -patch_path オプションを一緒に使用する場合は、matrixpath オプションを使用する必要があります。インストーラはリリースマトリックスデータの事前チェックを行うので、正しいリリースマトリックスデータパスが指定されていないと、パッチのインストールまたはパッチのアップグレードが失敗することがあります。
直接または手動の yum インストール
yum インストールコマンドを実行する前に、クラスタの各ノードで yum リポジトリを手動で設定してください。
yum を使用した Veritas InfoScale のインストールについて詳しくは、次のトピックを参照してください。
手動の yum メソッドを使用して InfoScale RPM をインストールする方法
- それぞれの RPM の名前と、yum に相当する名前を指定します。例: # yum install VRTSvlic VRTSperl ... VRTSsfcpi
- RPM グロブを使用して Veritas InfoScale RPM をすべて指定します。例: # yum install 'VRTS*'
- グループを Veritas InfoScale の RPM に設定したら、グループ名を指定します。
メモ:
指定した名前が xml ファイルの名前と一致していることを確認します。たとえば、「ENTERPRISE802: # yum install @ENTERPRISE802」または「# yum groupinstall -y ENTERPRISE802」というグループ名の使用を考慮します。
直接または手動の yum アップグレードの使用
クラスタの各ノードで yum リポジトリを手動で設定してから、yum アップグレードコマンドを実行して、InfoScale をアップグレードできます。手動の yum アップグレードには upgradestop オプションと upgradestart オプションを使用する必要があります。構文と例は次のとおりです。
upgradestop の構文:
/opt/VRTS/install/installer -upgradestop
yum アップグレードコマンドを使用して InfoScale のアップグレードを開始する前に、upgradestop オプションを使用します。このコマンドは、アップグレード前の必須チェックを実行し、アップグレードを行う前にすべての設定ファイルをバックアップします。
upgradestart の構文:
/opt/VRTS/install/installer -upgradestart
upgradestart オプションを使用して、yum による InfoScale RPM のアップグレード後に、CVM エージェントの開始、追加の types.cf ファイルの登録、プロトコルバージョンの更新などのサービスを開始します。
yum を使用して InfoScale をアップグレードする方法
- クラスタ上のすべてのサービスグループを無効にします。
- VCS の制御下にないファイルシステムをマウント解除します。
- 次のコマンドを使用して、DMP のネイティブサポートを無効にします。
# vxdmpadm settune dmp_native_support=off
- インストーラを停止し、次のようにすべてのサービスを停止します。
# ./installer -upgradestop
メモ:
upgradestop の基本バージョンは 8.0 です。upgradestop を使用して、以前のバージョンの InfoScale から 8.0 への、直接の yum アップグレードを実行することはできません。./installer -stop コマンドを実行した後、インストーラに -stop オプションを使用できます。lsmod および systemctl 状態コマンドを使用してすべてのモジュールとサービスが停止していることを確認し、yum アップグレードを続行する前に状態を検証します。
- インストールメディアから yum クライアントマシンの
/etc/yum.repos.d/
にinfoscale802.repo
をコピーします。または、次の手順に従って手動で.repo
ファイルを作成します。i. 次に示すように、エディタ [vi、vim または nano] を使用して
.repo
ファイルを作成します:# vi /etc/yum.repos.d/infoscale802.repo
ii. 上記のコマンドを実行した後、次のように .repo ファイルに次の値を挿入します。
[repo-InfoScale802] name=Repository for Veritas InfoScale 802 baseurl=file:///<image_dir>/rpms/ enabled=1 gpgcheck=1 gpgkey=file:///<image_dir>/rpms/RPM-GPG-KEY-veritas-infoscale7
注意: baseurl 属性の値は
http://、ftp://、または file://
から開始できます。選択した URL は、repodata ディレクトリにアクセスできる必要があります。さらに、作成または更新したリポジトリ内のすべての InfoScale RPM にもアクセスできる必要があります。iii. 保存して、テキストエディタを終了します。
メモ:
.repo ファイルをインストールメディアから直接コピーする場合は、任意のテキストエディタを使用して yum リポジトリディレクトリの
/etc/yum.repos.d/infoscale802.repo
で「baseurl」と「gpgkey」エントリを更新する必要があります。 - 次のコマンドを実行して yum リポジトリを更新します。
# yum repolist
# yum updateinfo
# yum grouplist
- 次のコマンドを実行して、Veritas InfoScale 製品をアップグレードします: # yum upgrade VRTS*
OS のアップグレードが関与しており、再ブートが必要な場合は、OS と IS の両方を同時にアップグレードします: # yum upgrade <--releasever=<version>>
- クラスタの各ノード上で、手順 5 から 8 までを繰り返します。
- 上記のすべての手順を完了した後、次のコマンドを実行して、設定用のインストーラスクリプトを手動で生成します。
# /opt/VRTS/install/bin/UXRT802/add_install_scripts
-
次のコマンドを実行して、すべてのクラスタノードに
VRTSrest
パッケージを手動でインストールします。# yum install VRTSrest
- 起動するには、次のコマンドを実行します: # /opt/VRTS/install/installer -upgradestart
yum アップグレードが正常に完了した後、クラスタが稼働状態であることを確認します。次のように vxdctl protocolversion コマンドと VCS プロトコルバージョンを使用して CVM プロトコルのバージョンを確認できます。
/opt/VRTS/bin/haclus -value ProtocolNumber
メモ:
yum インストールおよびアップグレードコマンドを実行する前に、クラスタの各ノードで yum リポジトリを手動で設定してください。
応答ファイルを使用した yum のインストールまたはアップグレード
yum ベースのインストールまたはアップグレードは、メニュー駆動型プログラムまたは応答ファイルのいずれかを使用して実行できます。
表:
変数 |
説明 |
リスト/スカラー |
必須/オプション |
---|---|---|---|
CFG{opt}{yum} |
-yum オプションは、yum ベースのタスクの実行に使用する yum リポジトリのパスまたはリポジトリ名を定義するために使用します。このオプションは Red Hat Linux と Oracle Linux でのみサポートされます。 |
スカラー |
省略可能 |
CFG{opt}{matrixpath} |
-matrixpath オプションは、ユーザー指定のリリースマトリックスデータパスを受け入れる場合に使用します。 |
スカラー |
省略可能 |
CFG{opt}{upgradestop} |
-upgradestop オプションは、すべてのドライバとプロセスを停止します。このオプションは Red Hat Linux と Oracle Linux でのみサポートされます。 |
スカラー |
省略可能 |
CFG{opt}{upgradestart} |
-upgradestart オプションは、yum を使用してアップグレードされる製品のすべてのドライバとプロセスを開始します。このオプションは Red Hat Linux と Oracle Linux でのみサポートされます。 |
スカラー |
省略可能 |
応答ファイルのサンプルを以下に示します。
-yum と reponame を使用したインストール:
# # Configuration Values: # our %CFG; $CFG{accepteula}=1;
$CFG{opt}{install}=1; $CFG{opt}{yum}="repo-InfoScale802"; $CFG{prod}="ENTERPRISE802"; $CFG{systems}=[ "dl380g10-10-vip17" ]; 1;
-yum と repo URL を使用したインストール:
# # Configuration Values: # our %CFG; $CFG{accepteula}=1;
$CFG{opt}{install}=1; $CFG{opt}{yum}="http://xyz.com/rhel8_x86_64/rpms/"; $CFG{prod}="ENTERPRISE802"; $CFG{systems}=[ "dl380g10-10-vip17" ]; 1;
-yum、-matrixpath、-patch_path を使用したインストール:
# # Configuration Values: # our %CFG; $CFG{accepteula}=1;
$CFG{opt}{install}=1; $CFG{opt}{matrixpath}="/root/patch_matrix/"; $CFG{opt}{patch_path}="repo-InfoScale802P"; $CFG{opt}{yum}="repo-InfoScale802"; $CFG{prod}="ENTERPRISE802"; $CFG{systems}=[ "dl380g10-10-vip17" ]; 1;
メモ:
すべてのアップグレード操作では、必要に応じて新しく追加されたオプションを入力する必要があります。残りの設定値は、従来のインストールおよびアップグレードの場合と同じです。
手動の yum アップグレードの前に upgradestop を実行する場合:
# # Configuration Values: # our %CFG; $CFG{opt}{gco}=1; $CFG{opt}{stop}=1; $CFG{opt}{upgradestop}=1; $CFG{opt}{vr}=1; $CFG{prod}="ENTERPRISE802"; $CFG{systems}=[ "dl380g10-10-vip17","dl380g10-10-vip18" ]; $CFG{vcs_allowcomms}=1; 1;
手動の yum アップグレードの後に upgradestart を実行する場合:
# # Configuration Values: # our %CFG; $CFG{opt}{gco}=1; $CFG{opt}{start}=1; $CFG{opt}{upgradestart}=1; $CFG{opt}{vr}=1; $CFG{prod}="ENTERPRISE802"; $CFG{systems}=[ "dl380g10-10-vip14" ]; $CFG{vcs_allowcomms}=1; 1;