Veritas Access 管理者ガイド
- 第 I 部 Veritas Access の概要
- 第 II 部 Veritas Access の構成
- ユーザーまたは役割の追加
- ネットワークの構成
- 認証サービスの構成
- 第 III 部 Veritas Access ストレージの管理
- ストレージの構成
- I/O フェンシングによるデータ整合性の構成
- iSCSI の構成
- iSCSI ターゲットとしての Veritas Access
- ストレージの構成
- 第 IV 部 Veritas Access ファイルアクセスサービスの管理
- NFS サーバーの構成
- CIFS サーバーとしての Veritas Access の使用
- Active Directory (AD) について
- Active Directory (AD) ドメインモードの CIFS の設定について
- 信頼できるドメインの設定について
- ホームディレクトリの管理について
- CIFS クラスタモードについて
- CIFS 共有とホームディレクトリの移行について
- ローカルユーザーとグループの管理について
- Oracle Direct NFS と連携する Veritas Access の構成
- FTP サーバーの構成
- 第 V 部 Veritas Access Object Store サーバーの管理
- 第 VI 部 監視とトラブルシューティング
- 第 VII 部 Veritas Access ファイルシステムのプロビジョニングと管理
- 第 VIII 部 クラウドストレージの構成
- 第 IX 部 Veritas Access 共有のプロビジョニングと管理
- アプリケーション用の共有の作成
- NFS 共有の作成と維持
- CIFS 共有の作成と維持
- OpenStack での Veritas Access の使用
- Veritas Access と Data Insight の統合
- 第 X 部 Veritas Access ストレージサービスの管理
- データの重複排除
- ファイルの圧縮
- SmartTier の構成
- SmartIO の構成
- 一時的なレプリケーションの構成
- 一時的なレプリケーションジョブのフェールオーバーとフェールバック
- 連続レプリケーションの構成
- スナップショットの使用
- インスタントロールバックの使用
- NetBackup クライアントを使用する Veritas Access の構成
- 第 XI 部 参照
Veritas Access ファイルシステムで実行しているアプリケーションに対する SmartIO ライトバックキャッシュについて
Veritas Access は、Veritas Access ファイルシステムで実行するアプリケーション用にソリッドステートドライブ (SSD) のライトバックキャッシュをサポートします。このシナリオでは、アプリケーションの読み取りと書き込みは可能なかぎりキャッシュから行われます。
SmartIO は、ライトバックモードで書き込みキャッシュを提供します。ライトバックモードでは、アプリケーションの書き込みは、SmartIO キャッシュ (通常は SSD) にデータが書き込まれた後で成功を返します。後で、SmartIO はキャッシュをフラッシュし、ディスクにダーティデータが書き込まれます。ライトバックキャッシュにより、ユーザーデータの同時書き込みによる遅延の改善が期待できます。書き込み順序の忠実性は、ディスクへのダーティデータのフラッシュでは保証されません。
ライトバックキャッシュは読み取りキャッシュのスーパーセットです。ライトバックキャッシュが有効になっていると、読み取りキャッシュも暗黙で有効になります。可能な場合は読み取りはキャッシュから行われ、ファイルシステムはファイルデータをキャッシュに透過的に読み込みます。読み取りキャッシュとライトバックキャッシュの両方を、同じファイルに対して同時に有効にできます。
ライトバックキャッシュモードでは書き込みのパフォーマンスが向上しますが、ディスクコピーが常に最新ではない可能性があることも意味します。キャッシュデバイスで障害が発生した場合、ライトバックモードでキャッシュされているファイルはディスク上に完全に存在しない可能性があります。SmartIO には、デバイスがオンラインに戻ったときにキャッシュデバイスからデータをフラッシュするメカニズムがあります。Veritas Access は、キャッシュリフレクションによってデータの損失に対する追加の保護を提供します。デフォルトではキャッシュリフレクションは有効になっています。
ライトバックキャッシュには、厳密に 2 つのノードを持つクラスタが必要です。クラスタに 3 つ以上のノードがある場合、またはクラスタのノードが 1 つだけの場合は、ライトバックキャッシュを有効にできません。
ライトバックキャッシュを有効にすると、SmartIO は、ファイルシステムレベルのライトバックデータを他のノードの SSD キャッシュにミラー化します。キャッシュリフレクションと呼ばれるこの動作は、ノードで障害が発生した場合にライトバックデータが失われるのを防ぎます。あるノードで障害が発生した場合、他のノードは再構成の一部として、失われたノードのミラー化されたダーティデータをフラッシュします。キャッシュリフレクションは、保留中のダーティデータがあるノードで障害が発生した場合でも、ライトバックデータが消失しないようにします。
マウントポイントでライトバックキャッシュを有効にすると、そのファイルシステムでの適格な同時書き込みがキャッシュされます。SmartIO は、次のような基準を使って、書き込みがライトバックキャッシュの条件に合うかどうかを判断します。
書き込み要求が PAGESIZE に揃っている (4 KB の倍数である) こと。
書き込み要求が 2 MB 以下であること。
書き込みが発生しているファイルがマップされていないこと。
管理者がライトバックキャッシュを明示的に無効にしていないこと。
クラスタに 3 つ以上のノードがある場合、ライトバックキャッシュは適格と見なされません。
SmartIO 機能がこれらの判断を行うのを助けるアドバイザリ情報を追加することによって、キャッシュされるデータをカスタマイズすることもできます。