Veritas NetBackup™ Appliance アップグレードガイド
アプライアンスのアップグレード前のタスク
バージョン 3.1.2 にアップグレードするための準備を行うには、アップグレード対象の各アプライアンスで次のタスクを実行する必要があります。
プレフライトチェックではアクティブなジョブがあるかどうかを確認します。アップグレードを成功させるには、次の操作を実行します。
メモ:
高可用性 (HA) 設定のアプライアンス (ノード) の場合は、切り替えを実行してからジョブを停止してソフトウェアのセルフテストを実行します。HA 設定のアプライアンスの切り替えを実行するを参照してください。
管理者として NetBackup 管理コンソールにログオンします。
マスターサーバーをアップグレードする前に、すべてのジョブおよび SLP(ストレージライフサイクルポリシー)を一時停止します。
メディアサーバーをアップグレードする前に、現在動作しているすべてのジョブを停止し、アップグレード中に開始される可能性のあるジョブを一時停止します。アップグレード中にメディアサーバーでジョブが開始されないようにする必要があります。
すべてのジョブが停止または一時停止され、すべての SLP が一時停止された後、検証テストのために NetBackup Appliance シェルメニューから次のコマンドを実行します。
Support > Test Software
ソフトウェアセルフテストの結果で、Pass が表示される必要があります。
メモ:
このコマンドは、
/tmp
ディレクトリのバックアップおよび復元のテストを実行します。アップグレードするアプライアンスの/tmp
ディレクトリが NetBackup エクスクルードリストに含まれている場合、セルフテストコマンドを実行する前に、このディレクトリをリストから削除する必要があります。削除しなかった場合、セルフテストは失敗します。
バージョン 3.1.1 以前からアップグレードするには、まず関連付けられているマスターサーバーの NetBackup 管理コンソールで、HA アプライアンスのホスト名マッピングを承認する必要があります。承認しなかった場合、プレフライトチェックでアップグレードを開始できません。
ホスト名マッピングを承認するには、次の操作を行います。
関連付けられているマスターサーバーで、NetBackup 管理コンソールにログインします。
左ペインで[セキュリティ管理 (Security Management)]をクリックしてプロパティを展開し、[ホスト管理 (Host Management)]をクリックします。
右ペインの左下で、[承認のマッピング (Mappings for Approval)]をクリックします。
右ペインの上部で、承認が保留状態となっている任意のホストマッピングをクリックします。承認を求める[マッピングの承認 (Approve Mappings)]ダイアログボックスが表示されたら、[はい (Yes)]をクリックします。承認が保留状態となっている各ホストマッピングについて、このタスクを繰り返します。
HA 設定のアプライアンス (ノード) は、一度に 1 台ずつ更新します。両方のノードで、同じ Appliance ソフトウェアバージョンを使用している必要があります。1 台のノードをアップグレードしたら、他方のノードをすぐにアップグレードする必要があります。
どちらのノードを最初にアップグレードしてもかまいません。ただし、MSDP のサービスとジョブが進行中のノードでアップグレードを実行することはできません。MSDP を実行しているノードでアップグレードを開始する前に、まず切り替えを実行してパートナーノードに MSDP の作業負荷を転送する必要があります。次のコマンドを使って切り替えを実行します。
Main_Menu > Manage > HighAvailability > Switchover > hostname
hostname は、パートナーノードの物理ホスト名または IP アドレスです。
このノードでアップグレードが完了したら、もう一度切り替えを実行してパートナーノードからアップグレードしたノードに MSDP の作業負荷を転送します。パートナーノードをすぐにアップグレードします。
アップグレードするいずれかのアプライアンスで IPSec 機能を設定している場合、アップグレードの完了後に IPsec 証明書が保持されない可能性があります。この問題を回避するには、アプライアンスをアップグレードする前に IPsec 証明書をエクスポートする必要があります。Network > IPsec > Export コマンドを使用して、このタスクを実行します。
エクスポートコマンドは、このコマンドを実行するときに指定した場所に 2 つの .pfx
ファイル (serialnumber.pfx
と .serialnumber.pfx
) をコピーします。
次のように、アップグレードする前に IPsec 証明書をエクスポートします。
NetBackup Appliance シェルメニューにログインして、次のビューに移動します。
Network > IPsec
次のエクスポートオプションの詳細を入力します。
Export [EnterPasswd][PathValue]
[EnterPasswd] は、[パスワードを入力しますか? (Do you want to enter a password?)]という質問への回答に使うフィールドです。yes または no を入力する必要があります。
[PathValue] は、エクスポートした証明書を保存する場所です。
エクスポートが完了したら、アプライアンス以外の場所に両方の
.pfx
ファイルのバックアップを作成します。アップグレードが完了したら、アプライアンス以外の場所のバックアップファイルを/inst/patch/incoming
などのアプライアンス共有に保存します。次の手順で、共有からファイルをインポートします。
アップグレードが完了したら、IPsec 証明書を次のように再インポートします。
NetBackup Appliance シェルメニューにログインして、次のビューに移動します。
Network > IPsec
次のインポートオプションの詳細を入力します。
Import [EnterPasswd][PathValue]
[EnterPasswd] は、[パスワードを入力しますか? (Do you want to enter a password?)]という質問への回答に使うフィールドです。yes または no を入力する必要があります。
[PathValue] は、インポートした証明書を保存する場所です。
新しいバージョンのインストール用に十分な容量を確保するため、アップグレードする前に、以前にダウンロードしたリリースアップデート、クライアントパッケージ、クライアントアドオンのすべてをアプライアンスから削除する必要があります。
以前にダウンロードしたパッケージを削除しておらず、アプライアンスの /inst
ディレクトリに十分な空き領域がない場合、プレフライトチェックで問題が通知され、アップグレードできません。アップグレードを開始するための十分な領域があっても、古いクライアントのアドオンが削除されていないとアップグレードが失敗する場合があります。
メモ:
ベストプラクティスとして、すべてのアプライアンスおよびクライアントをアップグレードした後に、ダウンロードしたパッケージを必ず削除してください。
高可用性 (HA) ノードでパッケージをダウンロードした場合は、両方のノードからパッケージを削除する必要があります。
次の表で、バージョン 2.6.0.1 をインストールしたことがないアプライアンスのパッケージの削除方法を説明します。
メモ:
アップグレードするアプライアンスにバージョン 2.6.0.1 のアプライアンスをインストールしたことがある場合は、別の方法でクライアントパッケージを削除する必要があります。詳しくは、次の表に示す情報を参照してください。
表: 以前にダウンロードしたリリースアップデート、クライアントパッケージ、クライアントアドオンを削除する方法 (バージョン 2.6.0.1 をインストールしたことがないアプライアンスの場合)
NetBackup Appliance Web コンソール |
NetBackup Appliance シェルメニュー |
---|---|
|
|
バージョン 2.6.0.1 を使用したことがあるアプライアンスの場合
アップグレードするアプライアンスにアプライアンスのバージョン 2.6.0.1 がインストールされている場合、それ以降のバージョンにアップグレードしても、アプライアンスにこのバージョンのクライアントパッケージが残ります。バージョン 2.6.0.1 のアプライアンスを購入した場合や、バージョン 2.6.0.1 にアップグレードした場合は、次のタスクを実行して 2.6.0.1 クライアントパッケージを削除する必要があります。唯一の例外は、アプライアンスが 2.6.0.1 以外のバージョンに再イメージ処理されている場合です。
アプライアンスからバージョン 2.6.0.1 のクライアントパッケージを削除するには
Web ブラウザまたは SSH セッションで Veritas Appliance のソフトウェアアップデートリリースページを開きます。
以降のバージョンのクライアントパッケージをアプライアンスにダウンロードしてインストールします。
NetBackup Appliance シェルメニューから新しくインストールしたクライアントパッケージを削除します。この処理によって、2.6.0.1 クライアントパッケージも削除されます。
メモ:
NetBackup Appliance Web コンソールからクライアントパッケージを削除することはできません。
バージョン 2.6.1.2 以前のソフトウェアを搭載したすべての NetBackup Appliance は SLES バージョンのサードパーティ製プラグインを使っているため、バージョン 2.7.1 以降へのアップグレードには、これらのプラグインを適切な RHEL バージョンのものに置き換える必要があります。プレフライトアップグレードスクリプトで、見つからない必須の RHEL サードパーティプラグインが識別された場合、アップグレードは続行できません。
メモ:
プレフライトアップグレードスクリプトは、アップグレードに必要なこれらのプラグインのみを識別します。バージョン 2.7.1 のリリース時に、一部のサードパーティベンダーは RHEL と同等のプラグインの開発を完了していませんでした。これらのベンダーの Web サイトを定期的に調べて、必要な追加のプラグインがないかチェックしてください。
RHEL プラグインをインストールするには、以下の手順を実行します。
以下のベンダー Web サイトから適切な RHEL プラグインを見つけます。
http://www.datadomain.com/products
http://www.falconstor.com/en/pages/?pn=VTL
http://www.necam.com/HYDRAstor
https://www.veritas.com/product/backup-and-recovery/netbackup-appliances?themeid=nbu-appliance
その他のサードパーティプラグインも使用している場合は、同様に適切な RHEL バージョンに変更する必要があります。詳しくは、該当ベンダーの Web サイトを確認してください。
NetBackup Appliance シェルメニューから次の共有ディレクトリを開きます。
Manage > OpenStorage > Share > Open
このコマンドは、NFS の場合は
/inst/plugin/incoming
共有ディレクトリを、Windows の場合は\incoming_plugins
共有ディレクトリを開きます。これらの場所に必要なプラグインをコピーします。次のように共有ディレクトリを閉じます。
Manage > OpenStorage > Share > Close
メモ:
2.6.1 または 2.6.1.x からアップグレードする場合、RHEL プラグインパッケージを共有ディレクトリにコピーして、共有ディレクトリを閉じた後、Manage > OpenStorage > List Available コマンドを実行しないでください。現在の 2.6.x SUSE Appliance コードは、RHEL プラグインパッケージを無効としてフラグ付けします。これは、パッケージの命名規則が SUSE と Red Hat 環境で異なるためです。アプライアンスは SLES で実行中のため、List Available コマンドは共有ディレクトリから RHEL プラグインパッケージを削除し、アップグレードの妨げになります。
ベリタスのシマンテック社からの分社に伴い、NetBackup Appliance 環境に影響する重要なサーバーの変更が行われました。これらの変更は SORT、NetBackup Product Improvement Program、アプライアンス登録、および AutoSupport に影響します。ファイアウォールの設定とプロキシ設定に応じて、既存の機能の保守を行うためにアップデートが必要となることがあります。このような変更の情報については、ベリタスのサポート Web サイトで次の Tech Alert を参照してください。
https://www.veritas.com/support/en_US/article.INFO2803
プレフライトチェックでは、0006 より前のディスクドライブのファームウェアバージョンが検出された場合に警告されます。以前のディスクドライブのファームウェアバージョンが検出された場合、プレフライトチェックでアップグレードが遮断されます。アプライアンスをアップグレードする前に、ディスクドライブのファームウェアバージョンを 0006 以降にアップデートする必要があります。このアップデートにより、ディスクドライブの重要なパフォーマンスの問題が解決されます。
ディスクドライブのファームウェアのアップデートについて詳しくは、次の記事を参照してください。
https://www.veritas.com/support/en_US/article.100033458.html
アプライアンスリリース 3.1.2 以降、FTMS ドライバのアップデートにより、FC (ファイバーチャネル) を介したバックアップのゾーン化要件が変更されました。アプライアンスで SAN クライアントのバックアップをサポートするには、1 ゾーンにイニシエータとターゲットを 1 つずつ含むゾーンを作成する必要があります。各クライアントホストも、1 つの FT メディアサーバーのみに対してゾーン化する必要があります。バージョン 3.1.2 以降にアップグレードしても、現在のゾーン設定がこれらの要件を満たしていない場合、SAN クライアントのバックアップジョブは FC を介して行われません。
アップグレード後のバックアップエラーを回避するため、ゾーン化に関する必要な変更は通常のバックアップスケジュールを再開する前に行ってください。ゾーン化について詳しくは、『NetBackup Appliance ファイバーチャネルガイド』を参照してください。