Veritas NetBackup™ Appliance アップグレードガイド

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Product(s): Appliances (3.1.2 (5340), 3.1.2 (5330), 3.1.2 (5240), 3.1.2 (5230))
  1. 概要
    1. NetBackup appliance ソフトウェアバージョン 3.1.2 および Red Hat Enterprise Linux オペレーティングシステムへのアップグレードについて
      1.  
        サポートされるアップグレードパス
      2.  
        アップグレード前のプリフライトチェック
      3.  
        RHEL 用のサードパーティ製プラグイン
      4.  
        アップグレード中の Appliance の動作
      5.  
        アップグレード中の変更
      6.  
        対応する NetBackup ソフトウェアのバージョンについて
      7.  
        アプライアンスインストールマネージャについて
  2. アップグレードプラン
    1. NetBackup Appliance をアップグレードするためのガイドラインおよびベストプラクティス
      1.  
        NetBackup Appliance の HA 設定のアップグレードについて
      2.  
        アップグレードの推定所要時間
  3. アップグレード前のタスク
    1.  
      アプライアンスのアップグレード前のタスク
  4. アップグレードの実行
    1. アプライアンスのソフトウェアリリース更新をダウンロードする方法
      1.  
        NetBackup Appliance Web コンソールを使用した NetBackup Appliance へのソフトウェアアップデートのダウンロード
      2.  
        NetBackup Appliance へのソフトウェア更新の直接ダウンロード
      3.  
        クライアント共有を使用した NetBackup Appliance へのソフトウェアアップデートのダウンロード
    2.  
      NetBackup Appliance シェルメニューを使用した NetBackup Appliance ソフトウェアアップデートのインストール
  5. アップグレード後のタスク
    1.  
      3.1.2 へのアップグレード後のタスク
  6. トラブルシューティング
    1.  
      アップグレードの問題のトラブルシューティング

アプライアンスのアップグレード前のタスク

バージョン 3.1.2 にアップグレードするための準備を行うには、アップグレード対象の各アプライアンスで次のタスクを実行する必要があります。

すべてのバックアップジョブを停止して、ソフトウェアのセルフテストを実行する

プレフライトチェックではアクティブなジョブがあるかどうかを確認します。アップグレードを成功させるには、次の操作を実行します。

メモ:

高可用性 (HA) 設定のアプライアンス (ノード) の場合は、切り替えを実行してからジョブを停止してソフトウェアのセルフテストを実行します。HA 設定のアプライアンスの切り替えを実行するを参照してください。

  • 管理者として NetBackup 管理コンソールにログオンします。

  • マスターサーバーをアップグレードする前に、すべてのジョブおよび SLP(ストレージライフサイクルポリシー)を一時停止します。

  • メディアサーバーをアップグレードする前に、現在動作しているすべてのジョブを停止し、アップグレード中に開始される可能性のあるジョブを一時停止します。アップグレード中にメディアサーバーでジョブが開始されないようにする必要があります。

  • すべてのジョブが停止または一時停止され、すべての SLP が一時停止された後、検証テストのために NetBackup Appliance シェルメニューから次のコマンドを実行します。

    Support > Test Software

    ソフトウェアセルフテストの結果で、Pass が表示される必要があります。

    メモ:

    このコマンドは、/tmp ディレクトリのバックアップおよび復元のテストを実行します。アップグレードするアプライアンスの /tmp ディレクトリが NetBackup エクスクルードリストに含まれている場合、セルフテストコマンドを実行する前に、このディレクトリをリストから削除する必要があります。削除しなかった場合、セルフテストは失敗します。

HA Appliance のホスト名マッピングの承認

バージョン 3.1.1 以前からアップグレードするには、まず関連付けられているマスターサーバーの NetBackup 管理コンソールで、HA アプライアンスのホスト名マッピングを承認する必要があります。承認しなかった場合、プレフライトチェックでアップグレードを開始できません。

ホスト名マッピングを承認するには、次の操作を行います。

  • 関連付けられているマスターサーバーで、NetBackup 管理コンソールにログインします。

  • 左ペインで[セキュリティ管理 (Security Management)]をクリックしてプロパティを展開し、[ホスト管理 (Host Management)]をクリックします。

  • 右ペインの左下で、[承認のマッピング (Mappings for Approval)]をクリックします。

  • 右ペインの上部で、承認が保留状態となっている任意のホストマッピングをクリックします。承認を求める[マッピングの承認 (Approve Mappings)]ダイアログボックスが表示されたら、[はい (Yes)]をクリックします。承認が保留状態となっている各ホストマッピングについて、このタスクを繰り返します。

HA 設定のアプライアンスの切り替えを実行する

HA 設定のアプライアンス (ノード) は、一度に 1 台ずつ更新します。両方のノードで、同じ Appliance ソフトウェアバージョンを使用している必要があります。1 台のノードをアップグレードしたら、他方のノードをすぐにアップグレードする必要があります。

どちらのノードを最初にアップグレードしてもかまいません。ただし、MSDP のサービスとジョブが進行中のノードでアップグレードを実行することはできません。MSDP を実行しているノードでアップグレードを開始する前に、まず切り替えを実行してパートナーノードに MSDP の作業負荷を転送する必要があります。次のコマンドを使って切り替えを実行します。

Main_Menu > Manage > HighAvailability > Switchover > hostname

hostname は、パートナーノードの物理ホスト名または IP アドレスです。

このノードでアップグレードが完了したら、もう一度切り替えを実行してパートナーノードからアップグレードしたノードに MSDP の作業負荷を転送します。パートナーノードをすぐにアップグレードします。

IPsec 証明書をエクスポートして再インポートする

アップグレードするいずれかのアプライアンスで IPSec 機能を設定している場合、アップグレードの完了後に IPsec 証明書が保持されない可能性があります。この問題を回避するには、アプライアンスをアップグレードする前に IPsec 証明書をエクスポートする必要があります。Network > IPsec > Export コマンドを使用して、このタスクを実行します。

エクスポートコマンドは、このコマンドを実行するときに指定した場所に 2 つの .pfx ファイル (serialnumber.pfx.serialnumber.pfx) をコピーします。

次のように、アップグレードする前に IPsec 証明書をエクスポートします。

  • NetBackup Appliance シェルメニューにログインして、次のビューに移動します。

    Network > IPsec

  • 次のエクスポートオプションの詳細を入力します。

    Export [EnterPasswd][PathValue]

    [EnterPasswd] は、[パスワードを入力しますか? (Do you want to enter a password?)]という質問への回答に使うフィールドです。yes または no を入力する必要があります。

    [PathValue] は、エクスポートした証明書を保存する場所です。

  • エクスポートが完了したら、アプライアンス以外の場所に両方の .pfx ファイルのバックアップを作成します。アップグレードが完了したら、アプライアンス以外の場所のバックアップファイルを /inst/patch/incoming などのアプライアンス共有に保存します。次の手順で、共有からファイルをインポートします。

アップグレードが完了したら、IPsec 証明書を次のように再インポートします。

  • NetBackup Appliance シェルメニューにログインして、次のビューに移動します。

    Network > IPsec

  • 次のインポートオプションの詳細を入力します。

    Import [EnterPasswd][PathValue]

    [EnterPasswd] は、[パスワードを入力しますか? (Do you want to enter a password?)]という質問への回答に使うフィールドです。yes または no を入力する必要があります。

    [PathValue] は、インポートした証明書を保存する場所です。

以前にダウンロードしたリリースアップデート、クライアントパッケージ、クライアントアドオンを削除する

新しいバージョンのインストール用に十分な容量を確保するため、アップグレードする前に、以前にダウンロードしたリリースアップデート、クライアントパッケージ、クライアントアドオンのすべてをアプライアンスから削除する必要があります。

以前にダウンロードしたパッケージを削除しておらず、アプライアンスの /inst ディレクトリに十分な空き領域がない場合、プレフライトチェックで問題が通知され、アップグレードできません。アップグレードを開始するための十分な領域があっても、古いクライアントのアドオンが削除されていないとアップグレードが失敗する場合があります。

メモ:

ベストプラクティスとして、すべてのアプライアンスおよびクライアントをアップグレードした後に、ダウンロードしたパッケージを必ず削除してください。

高可用性 (HA) ノードでパッケージをダウンロードした場合は、両方のノードからパッケージを削除する必要があります。

次の表で、バージョン 2.6.0.1 をインストールしたことがないアプライアンスのパッケージの削除方法を説明します。

メモ:

アップグレードするアプライアンスにバージョン 2.6.0.1 のアプライアンスをインストールしたことがある場合は、別の方法でクライアントパッケージを削除する必要があります。詳しくは、次の表に示す情報を参照してください。

表: 以前にダウンロードしたリリースアップデート、クライアントパッケージ、クライアントアドオンを削除する方法 (バージョン 2.6.0.1 をインストールしたことがないアプライアンスの場合)

NetBackup Appliance Web コンソール

NetBackup Appliance シェルメニュー

  • アップグレードするアプライアンスで、[管理 (Manage)]、[ソフトウェアアップデート (Software Updates)]の順に選択します。

  • [ダウンロードしたソフトウェアアップデート (Downloaded Software Updates)]表で、リスト内のリリースアップデート、クライアントパッケージ、またはクライアントのアドオンの左にあるラジオボタンをクリックし、[削除 (Delete)]をクリックします。

  • アップグレードするアプライアンスで Manage > Software > List Downloaded コマンドを入力して、ダウンロードしたリリースアップデートおよびクライアントパッケージのすべてを確認します。

  • ダウンロードしたリリースアップデートおよびクライアントパッケージを削除するには、Manage > Software > Delete update_name コマンドを入力します。update_name はリリースアップデートまたはクライアントパッケージのファイル名です。

  • ダウンロードしたクライアントのアドオンすべてのリストを表示するには、Manage > Software > List AddOns コマンドを入力します。

  • ダウンロードしたクライアントのアドオンを削除するには、Manage > Software > Rollback eeb_name コマンドを入力します。eeb_name はクライアントのアドオンのファイル名です。

    メモ:

    クライアントのアドオンのファイル名を入力するときは、.rpm 拡張子を含める必要があります。

  • バージョン 2.6.0.1 を使用したことがあるアプライアンスの場合

    アップグレードするアプライアンスにアプライアンスのバージョン 2.6.0.1 がインストールされている場合、それ以降のバージョンにアップグレードしても、アプライアンスにこのバージョンのクライアントパッケージが残ります。バージョン 2.6.0.1 のアプライアンスを購入した場合や、バージョン 2.6.0.1 にアップグレードした場合は、次のタスクを実行して 2.6.0.1 クライアントパッケージを削除する必要があります。唯一の例外は、アプライアンスが 2.6.0.1 以外のバージョンに再イメージ処理されている場合です。

    アプライアンスからバージョン 2.6.0.1 のクライアントパッケージを削除するには

    • Web ブラウザまたは SSH セッションで Veritas Appliance のソフトウェアアップデートリリースページを開きます。

    • 以降のバージョンのクライアントパッケージをアプライアンスにダウンロードしてインストールします。

    • NetBackup Appliance シェルメニューから新しくインストールしたクライアントパッケージを削除します。この処理によって、2.6.0.1 クライアントパッケージも削除されます。

      メモ:

      NetBackup Appliance Web コンソールからクライアントパッケージを削除することはできません。

必要なサードバーティプラグインを入手する

バージョン 2.6.1.2 以前のソフトウェアを搭載したすべての NetBackup Appliance は SLES バージョンのサードパーティ製プラグインを使っているため、バージョン 2.7.1 以降へのアップグレードには、これらのプラグインを適切な RHEL バージョンのものに置き換える必要があります。プレフライトアップグレードスクリプトで、見つからない必須の RHEL サードパーティプラグインが識別された場合、アップグレードは続行できません。

メモ:

プレフライトアップグレードスクリプトは、アップグレードに必要なこれらのプラグインのみを識別します。バージョン 2.7.1 のリリース時に、一部のサードパーティベンダーは RHEL と同等のプラグインの開発を完了していませんでした。これらのベンダーの Web サイトを定期的に調べて、必要な追加のプラグインがないかチェックしてください。

RHEL プラグインをインストールするには、以下の手順を実行します。

新しい Veritas サーバーのファイアウォールルールをアップデートする

ベリタスのシマンテック社からの分社に伴い、NetBackup Appliance 環境に影響する重要なサーバーの変更が行われました。これらの変更は SORT、NetBackup Product Improvement Program、アプライアンス登録、および AutoSupport に影響します。ファイアウォールの設定とプロキシ設定に応じて、既存の機能の保守を行うためにアップデートが必要となることがあります。このような変更の情報については、ベリタスのサポート Web サイトで次の Tech Alert を参照してください。

https://www.veritas.com/support/en_US/article.INFO2803

ディスクドライブのファームウェアのアップデート

プレフライトチェックでは、0006 より前のディスクドライブのファームウェアバージョンが検出された場合に警告されます。以前のディスクドライブのファームウェアバージョンが検出された場合、プレフライトチェックでアップグレードが遮断されます。アプライアンスをアップグレードする前に、ディスクドライブのファームウェアバージョンを 0006 以降にアップデートする必要があります。このアップデートにより、ディスクドライブの重要なパフォーマンスの問題が解決されます。

ディスクドライブのファームウェアのアップデートについて詳しくは、次の記事を参照してください。

https://www.veritas.com/support/en_US/article.100033458.html

ファイバーチャネルを介した SAN クライアントのバックアップのゾーン化の確認

アプライアンスリリース 3.1.2 以降、FTMS ドライバのアップデートにより、FC (ファイバーチャネル) を介したバックアップのゾーン化要件が変更されました。アプライアンスで SAN クライアントのバックアップをサポートするには、1 ゾーンにイニシエータとターゲットを 1 つずつ含むゾーンを作成する必要があります。各クライアントホストも、1 つの FT メディアサーバーのみに対してゾーン化する必要があります。バージョン 3.1.2 以降にアップグレードしても、現在のゾーン設定がこれらの要件を満たしていない場合、SAN クライアントのバックアップジョブは FC を介して行われません。

アップグレード後のバックアップエラーを回避するため、ゾーン化に関する必要な変更は通常のバックアップスケジュールを再開する前に行ってください。ゾーン化について詳しくは、『NetBackup Appliance ファイバーチャネルガイド』を参照してください。