NetBackup™ 重複排除ガイド

Encryption Crawler の 2 つのモードについて

Encryption Crawler はデフォルトではオンになりません。crcontrol コマンドを使用して明示的に有効にする必要があります。Encryption Crawler には、グレースフルモードとアグレッシブモードの 2 つのモードがあります。これらの 2 つのモードは、特定のジョブがどのように実行されるかに影響します。以下の情報を確認して、お使いの環境に適したモードを選択してください。

ユーザーが crcontrol --encconvertlevel コマンドを使用して別のモードを指定しないかぎり、Encryption Crawler のデフォルトのモードはグレースフルです。このモードでは、MSDP プールが比較的アイドル状態であり、圧縮ジョブまたは CRQP ジョブが実行中でない場合にのみ Encryption Crawler が実行されます。通常、MSDP プールがアイドル状態のときは、MSDP プールでバックアップ、リストア、複製、またはレプリケーションのジョブが実行中でないことを意味します。システムが過負荷にならないようにするため、Encryption Crawler は継続的には実行されません。Encryption Crawler がグレースフルモードの場合、完了までに時間がかかることがあります。

グレースフルモードは、MSDP プールが比較的アイドル状態かどうかを確認します。各データコンテナを処理する前に、MSDP プールの I/O 統計情報を計算してプールの状態を確認し、圧縮ジョブまたは CRQP ジョブが実行中でないことを確認します。MSDP プールがアイドル状態ではなく、圧縮ジョブや CRQP ジョブが実行中である場合は一時停止します。多くの場合、バックアップ、リストア、複製、またはレプリケーションのジョブが MSDP プールで実行中になっていると、グレースフルモードは一時停止します。

実行中の NetBackup ジョブのデータ重複排除率が高い場合、I/O 操作率が低く、MSDP プールが比較的アイドル状態になる傾向があります。この場合、実行中の圧縮ジョブや CRQP ジョブがないと、グレースフルモードが実行されることがあります。

MSDP 指紋キャッシュのロードが進行中の場合、MSDP プールの I/O 操作率は低くはありません。この場合、グレースフルモードは一時停止し、指紋キャッシュのロードが完了するまで待機することがあります。Encryption Crawler は spoold ログを監視し、ThreadMain: Data Store nodes have completed cache loading で始まるメッセージを待機してから処理を再開します。spoold ログは storage_path/log/spoold/spoold.log にあります。圧縮ジョブまたは CRQP ジョブが実行中かどうかを確認するには、crcontrol --processqueueinfo または crcontrol --compactstate コマンドを実行します。

グレースフルモードをより速く実行するには、詳細オプションの CheckSysLoad、BatchSize、および SleepSeconds を使用して、グレースフルモードの動作とパフォーマンスをチューニングします。BatchSize の値を大きくし、SleepSeconds の値を小さくすると、グレースフルモードはより継続的に実行されます。

CheckSysLoad をオフにすると、バックアップ、リストア、複製、レプリケーション、圧縮、または CRQP のジョブが実行中であってもグレースフルモードが実行されます。このような変更は、グレースフルモードをよりアクティブにできますが、アグレッシブモードほどアクティブにはなりません。

このモードでは、Encryption Crawler は CRC チェックと圧縮を無効にします。バックアップ、リストア、複製、レプリケーション、または CRQP のジョブの実行中に Encryption Crawler が実行されます。

アグレッシブモードは、バックアップ、リストア、複製、レプリケーションのジョブのパフォーマンスに影響します。影響を最小限に抑えるには、グレースフルモードを使用します。これを選択すると、システムがビジー状態のときに暗号化プロセスが一時停止し、このプロセスの速度が低下する可能性があります。アグレッシブモードは、システムの状態に関係なく、プロセスのアクティブ状態を維持し、継続的に実行します。

次に示すのは、アグレッシブモードが有効な場合に考慮する必要のある事項です。

メモリ: Encryption Crawler は、MSDP パーティションごとに 1 GB の追加メモリを消費する場合があります。グレースフルモードは、アグレッシブモードより少ないメモリを消費します。

CPU: Encryption Crawler は、AES-256-CTR アルゴリズムを使用したデータの暗号化に主に CPU を使用します。CPU 使用率は、同じ量のデータをバックアップするよりも少なくなります。処理中は、指紋の取得や、コンポーネント間またはノード間のデータ転送は行われません。

ディスク I/O: Encryption Crawler は、特にアグレッシブモードで I/O を集中的に行います。アグレッシブモードは、I/O で実行中のジョブと大きく競合し、バックアップジョブより多くの I/O をコミットする可能性があります。