Veritas NetBackup™ for SAP 管理者ガイド
- NetBackup for SAP の概要
- NetBackup SAP HANA の概要
- NetBackup for SAP のインストール
- NetBackup for SAP HANA のインストール
- NetBackup for SAP の構成
- SAP データベースのバックアップポリシーの構成
- NetBackup for SAP バックアップスクリプト
- SAP 構成ファイルについて
- NetBackup for SAP HANA の構成
- SAP のバックアップとリストアの実行
- BRTools を使用した SAP バックアップの開始 (Oracle データベースの場合のみ)
- SAP アーカイブの実行
- 失敗した NetBackup for SAP バックアップおよびリストアの再開
- SAP HANA のバックアップとリストアの実行
- Snapshot Client を使用した NetBackup for SAP
- NetBackup for SAP の Snapshot Client の動作
- NetBackup for SAP による Snapshot Client の構成について
- UNIX の NetBackup for SAP Block Level Incremental バックアップの構成について
- NetBackup for SAP でのスナップショットロールバックを使用したボリュームおよびファイルシステムのリストアについて
- MaxDB データベース上の NetBackup for SAP
- NetBackup for SAP と SAP HANA のトラブルシューティング
- 付録 A. backint コマンドラインインターフェース
- 付録 B. SAP HANA の入力ファイルと出力ファイル
- 付録 C. backint -i in_file の内容
- 付録 D. backint -o out_file の内容
- 付録 E. NetBackup for SAP の backint の環境変数
- 付録 F. NetBackup for SAP 構成または bp.conf ファイル設定
- 付録 G. initSID.utl で使用するパラメータ
- sort_backup_type <value>
- sort_restore_type <value>
- 付録 H. 分割ミラーバックアップの構成
- 付録 I. 承認を受けた場所の登録
Snapshot Client を使った NetBackup for SAP の概要
NetBackup for SAP Snapshot Client ソフトウェアによって、スナップショットに基づいたさまざまなテクノロジが、操作しやすい単一のバックアップソリューションに統合されます。 NetBackup for SAP を Snapshot Client とともに使うと、Oracle データベースに基づいた環境がサポートされます。
メモ:
MaxDB データベースに基づいた環境はサポートされません。
環境を迅速にリストアすることは、重要なビジネスデータを迅速にバックアップできるかどうかに依存します。バックアップしておくと、論理データベースエラー、またはハードウェア障害や災害などの物理エラーが発生した場合に環境をリストアすることができます。スナップショットバックアップはデータベースがバックアップモードまたはオフライン状態にある時間を最小限にすることができます。Veritasは、オンラインバックアップを毎日 1 回以上、オフラインバックアップを 1 週間に 1 回実行することをお勧めします。 長い時間がかかるバッチジョブは週末または夜間に実行することが多いため、SAP のシステム動作が低下する期間はほとんどありませんが、スナップショットなら最小限の遅延でデータを保護することが可能です。
表: Snapshot Client 機能を使った NetBackup for SAP に、Snapshot Client 機能を示します。
表: Snapshot Client 機能を使った NetBackup for SAP
Snapshot Client の機能 | 説明 |
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アレイとソフトウェアスナップショットの統合 | さまざまなアレイおよびソフトウェアスナップショットをサポートし、すべての Snapshot Client ソリューションの基本事項を提供します。 |
スナップショットバックアップ | スナップショットバックアップが実行されるのは、データベースが存在するディスクボリュームのポイントインタイムコピーを NetBackup が作成するときです。 スナップショットバックアップを Snapshot Client と組み合わせて使うと、NetBackup for SAP は、ローカルホスト上のコンポーネントファイルのスナップショットイメージを作成することによって、Oracle オブジェクトをバックアップします。 スナップショットは、後でストレージユニットにバックアップされます。 スナップショット処理は非常に短い時間で完了するため、データベースへのユーザーアクセスが中断されることはありません。バックアップ中も、クライアント操作およびユーザーアクセスは中断することなく続行できます。バックアップはデータベースのパフォーマンスや可用性に影響しません。 backint コマンドを使うか、RMAN のプロキシコピーを使うことによって、スナップショットバックアップを実行できます。 |
インスタントリカバリバックアップ | この機能によって、ディスクからバックアップのインスタントリカバリを実行できるようになります。インスタントリカバリは、スナップショットテクノロジと、ディスクを基に高速リストアを実行する機能を組み合わせたものです。NetBackup では、イメージはユーザーによるデータへのアクセスを妨げることなく作成されます。 スナップショットは必要に応じてテープや他の長期保存用ストレージに保存することもできますが、短期のリカバリのために維持されているものです。 インスタントリカバリによって、長期保存用ストレージにアクセスしなくてもファイルプロモーションとロールバックが可能になります。 さらに、UNIX と Linux ではインスタントリカバリによるブロックレベルリストアも可能になります。 |
オフホストバックアップ | オフホストバックアップでは、バックアップ処理の負荷は別のバックアップエージェント (代替クライアントまたはデータムーバーなど) に移行されます。その結果、ローカルバックアップがクライアントのリソースに与える影響が減少します。バックアップエージェントによって、クライアントディスクからデータが読み込まれ、ストレージに書き込まれます。backint を使うか、RMAN のプロキシを使うことで、オフホストバックアップを実行できます。 |
Block Level Incremental バックアップおよびリカバリ | この機能は UNIX と Linux で利用可能です。データを少なくすることによって、データ保護のパフォーマンスが高くなります。Block Level Incremental(BLI)バックアップは、Veritas File System(VxFS)の Storage Checkpoint 機能の変更トラッキング機能を使います。 BLI バックアップでは、ファイルやファイルシステム全体ではなく、変更されたデータブロックだけがバックアップされます。BLI バックアップを使用すると、処理時間を短縮し、必要なバックアップメディア容量や、バックアップ中の CPU およびネットワークのオーバーヘッドを大幅に減らすことができます。 |
RMAN プロキシコピー | プロキシコピーは、Oracle のメディア管理 API の拡張機能です。 プロキシコピーは、RMAN によってデータ転送制御が NetBackup for SAP エージェントに切り替えられる特殊なバックアップです。 Oracle データファイルが格納されたディスクと NetBackup で管理されるストレージデバイス間のデータの移動全体をエージェントで管理できます。 プロキシコピーでは、RMAN によって、バックアップまたはリストアが必要なファイルのリストが NetBackup for SAP エージェントに提供されます。 NetBackup for SAP エージェントはデータをどのように移動するかを判断します。 |
RMAN のストリームベースのバックアップ | RMAN のストリームベースの処理は、標準的な NetBackup for SAP の処理方法で、RMAN によるバックアップとリストアを従来どおりに実行します。 ストリームベースのバックアップの場合は、NetBackup では Oracle サーバープロセスによって提供されたデータの移動が行われます。 NetBackup for SAP は、RMAN によって提供されたデータストリームの内容を取得し、メディアに保存します。 ユーザーが複数のチャネルを使用する RMAN に対して SAP を設定すると、次のようになります。
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RMAN プロキシおよび RMAN ストリームベースバックアップの併用 | RMAN プロキシバックアップは、オフホストスナップショットベースの分割ミラー完全バックアップの実行に使うことができます。 たとえば、毎週の完全バックアップに RMAN プロキシを使用できます。 RMAN ストリームベースのバックアップは、オンホストの増分バックアップの実行に使用できます。この方法で、毎日のバックアップを実行できます。 NetBackup for SAP では、バックアップ方式を柔軟に併用できます。 RMAN プロキシコピーのオフホストスナップショットバックアップおよび RMAN ストリームベースのオンホストの増分バックアップの両方を指定できます。両方のバックアップ形式を実行する場合、完全バックアップ実行中の実稼働ホストからバックアップの負荷を軽減することができます。また、増分バックアップのデータ量が削減されます。 |