Veritas InfoScale™ 7.4 ディザスタリカバリ実装ガイド - Linux

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Product(s): InfoScale & Storage Foundation (7.4)
Platform: Linux
  1. 第 I 部 ディザスタリカバリのための Storage Foundation and High Availability Solutions の概要
    1. サポートされるディザスタリカバリシナリオについて
      1.  
        ディザスタリカバリのシナリオについて
      2. キャンパスクラスタの設定について
        1.  
          VCS キャンパスクラスタの要件
        2.  
          VCS キャンパスクラスタの動作
        3.  
          VCS キャンパスクラスタの一般的な設定
      3. RDC(Replicated Data Cluster)について
        1.  
          VCS レプリケーションデータクラスタの動作
      4. グローバルクラスタについて
        1.  
          VCS グローバルクラスタの動作
        2.  
          クラスタ間の操作のユーザー権限
        3. VCS グローバルクラスタ: 構成単位
          1.  
            リモートクラスタオブジェクトの視覚化
          2.  
            グローバルサービスグループについて
          3. グローバルクラスタの管理について
            1.  
              Wide Area Connector プロセスについて
            2.  
              広域ハートビートエージェントについて
            3.  
              広域ハートビートエージェントの設定例
          4. シリアル化について - Authority 属性
            1.  
              Authority 属性と AutoStart 属性について
          5.  
            耐性と優先権について
          6.  
            広域フェールオーバーを管理するための VCS エージェント
          7.  
            Steward プロセスについて: 2 つのクラスタのグローバルクラスタにおけるスプリットブレインの処理
          8.  
            グローバルクラスタでの情報のやり取りのセキュア化
      5.  
        Veritas InfoScale 製品スイートのコンポーネントのディザスタリカバリ機能のサポート
      6.  
        レプリケート環境での Storage Foundation and High Availability Solutions 7.4 製品の仮想化サポート
    2. ディザスタリカバリの計画
      1. クラスタ設定の計画
        1.  
          キャンパスクラスタ設定の計画
        2.  
          レプリケートされたデータクラスタの設定の計画
        3.  
          グローバルクラスタ設定の計画
      2. データレプリケーションの計画
        1.  
          データレプリケーションオプション
        2.  
          データレプリケーションの注意事項
  2. 第 II 部 キャンパスクラスタの実装
    1. VCS と SFHA 用のキャンパスクラスタの設定
      1. キャンパスクラスタの設定について
        1.  
          キャンパスクラスタを設定するための準備
        2.  
          データ破損を防止するための I/O フェンシングの設定
        3.  
          キャンパスクラスタ設定向けの VxVM ディスクグループの設定
        4.  
          キャンパスクラスタ向けの VCS サービスグループの設定
        5.  
          Veritas InfoScale Operations Manager を使った VxVM および VCS 用のキャンパスクラスタの設定
      2.  
        キャンパスクラスタでのファイアドリル
      3.  
        DiskGroupSnap エージェントについて
      4. キャンパスクラスタでのファイアドリルの実行について
        1.  
          ファイアドリルサービスグループの設定
        2.  
          キャンパスクラスタでのファイアドリルの正常な実行
    2. SFCFSHA、SFRAC 用のキャンパスクラスタの設定
      1.  
        SFCFSHA または SF Oracle RAC のディザスタリカバリのためのキャンパスクラスタの設定について
      2.  
        パラレルクラスタデータベース環境のキャンパスクラスタの設定の準備
      3.  
        データ破損を防止するための I/O フェンシングの設定
      4.  
        パラレルクラスタデータベース環境のキャンパスクラスタの VxVM ディスクグループの設定
      5.  
        SFCFSHA と SF Oracle RAC のキャンパスクラスタの VCS サービスグループの設定
      6.  
        パラレルキャンパスクラスタのチューニングガイドライン
      7.  
        パラレルキャンパスクラスタのベストプラクティス
  3. 第 III 部 RDC(Replicated Data Cluster)の実装
    1. VVR を使った RDC の設定
      1. Replicated Data Cluster 構成の設定について
        1.  
          一般的な RDC(Replicated Data Cluster)の設定について
        2.  
          レプリケーションの設定について
        3.  
          サービスグループの設定
        4.  
          サービスグループの依存関係の設定
      2. サービスグループの移行について
        1.  
          サービスグループの切り替え
      3.  
        レプリケートされたデータクラスタでのファイアドリル
    2. サードパーティのレプリケーションを使った RDC の設定
      1.  
        サードパーティ製レプリケーション使用による RDC(Replicated Data Cluster)設定について
      2.  
        サードパーティ製レプリケーション使用による典型的な RDC(Replicated Data Cluster)設定について
      3.  
        サードパーティ製レプリケーションの設定について
      4.  
        サードパーティ製レプリケーション用のサービスグループの設定
      5.  
        サードパーティ製レプリケーションを使ったレプリケートされたデータクラスタでのファイアドリル
  4. 第 IV 部 グローバルクラスタの実装
    1. VCS と SFHA 用のグローバルクラスタの設定
      1.  
        Cluster Server のインストールと設定
      2. VVR レプリケーションの設定
        1.  
          VVR レプリケーションの設定について
        2.  
          レプリケーションの推奨設定
        3. RDS の作成
          1. RDS のプライマリ RVG の作成
            1.  
              RDS のプライマリ RVG を作成する場合の前提条件
            2.  
              例: データボリュームを含むプライマリ RVG の作成
            3.  
              例: ボリュームセットを含むプライマリ RVG の作成
          2. RDS へのセカンダリの追加
            1.  
              RDS にセカンダリを追加するためのベストプラクティス
            2.  
              RDS にセカンダリを追加するための前提条件
          3. セカンダリのレプリケーション設定の変更
            1. セカンダリのレプリケーションモードの設定
              1.  
                例: RDS のレプリケーションモードを非同期に設定
              2.  
                例: RDS のレプリケーションモードを同期に設定
            2.  
              セカンダリの遅延保護の設定
            3.  
              セカンダリの SRL オーバーフロー保護の設定
            4.  
              セカンダリのネットワーク転送プロトコルの設定
            5. セカンダリのパケットサイズの設定
              1.  
                例: プライマリとセカンダリ間のパケットサイズの設定
            6. セカンダリの帯域幅の制限の設定
              1.  
                例: プライマリとセカンダリ間のネットワーク帯域幅の制限
              2.  
                例: プライマリとセカンダリ間のネットワークスロットルの無効化
              3.  
                例: 完全同期を使用した場合の VVR が使用するネットワーク帯域幅の制限
        4. セカンダリの同期とレプリケーションの開始
          1. セカンダリの同期方式
            1.  
              ネットワークを使用したセカンダリの同期
            2.  
              セカンダリの同期のためのブロックレベルのテープバックアップの使用
            3.  
              ディスクの物理的な移動によるセカンダリの同期
          2. 自動同期機能の使用
            1.  
              自動同期を使用する際の注意事項
          3.  
            自動同期を使用したレプリケーションの設定例
          4.  
            VVR の SmartMove について
          5.  
            シンストレージ再生と VVR について
          6.  
            シン再生アレイに再生が必要かどうかの判断
        5. データボリュームが初期化されている場合のレプリケーションの開始
          1.  
            例: データボリュームが初期化されている場合のレプリケーションの開始
      3.  
        サードパーティ製レプリケーションの設定
      4. グローバルクラスタ設定向けにクラスタを設定する
        1.  
          プライマリサイトでのグローバルクラスタコンポーネントの設定
        2.  
          セカンダリサイトでの VCS のインストールと設定
        3.  
          広域コネクタ間の通信のセキュリティ設定
        4.  
          リモートクラスタオブジェクトの設定
        5.  
          追加ハートビートリンクの設定(オプション)
        6.  
          Steward プロセスの設定(オプション)
      5. グローバルクラスタ設定向けにサービスグループを設定する
        1.  
          VVR ベースのレプリケーションのための VCS サービスグループの設定
        2.  
          グローバルサービスグループとしてのサービスグループの設定
      6.  
        グローバルクラスタでのファイアドリル
    2. グローバルクラスタの Storage Foundation Cluster File System High Availability、Storage Foundation for Oracle RAC、または Storage Foundation for Sybase CE での設定
      1.  
        グローバルクラスタについて
      2.  
        SFHA(Storage Foundation and High Availability)Solutions を使ったパラレルグローバルクラスタのレプリケーションについて
      3.  
        並列クラスタのグローバルクラスタ環境の設定について
      4.  
        プライマリサイトの設定
      5. セカンダリサイトの設定
        1.  
          セカンダリサイトの Sybase ASE CE クラスタの設定
      6.  
        パラレルグローバルクラスタサイト間のレプリケーションの設定
      7.  
        パラレルグローバルクラスタの設定のテスト
    3. グローバルクラスタの VVR と Storage Foundation Cluster File System High Availability、Storage Foundation for Oracle RAC、または Storage Foundation for Sybase CE での設定
      1.  
        VVR(Volume Replicator)を使ったパラレルグローバルクラスタのレプリケーション設定について
      2. プライマリサイトでの VVR を使ったレプリケーションの設定
        1.  
          プライマリサイトでのデータと SRL ボリュームの作成
        2.  
          プライマリサイトの Replicated Volume Group の設定
      3. セカンダリサイトでの VVR を使ったレプリケーションの設定
        1.  
          セカンダリサイトでのデータと SRL ボリュームの作成
        2.  
          /etc/vx/vras/.rdg ファイルの編集
        3.  
          各クラスタの RLINK に対する IP アドレスの設定
        4.  
          レプリケーション用セカンダリサイトのディスクグループの設定
      4.  
        プライマリサイトでの VVR を使ったデータベースボリュームのセタンダリサイトへのレプリケーションの開始
      5. VVR を使ったデータベースボリュームのレプリケーションのための Cluster Server 設定
        1.  
          プライマリサイトにおける VCS (Veritas Cluster Server)設定の修正
        2.  
          セカンダリサイトにおける VCS 設定の修正
        3.  
          セカンダリサイトの Sybase ASE CE クラスタの設定
      6.  
        グローバルパラレルクラスタのレプリケーションの使用例
  5. 第 V 部 クラウド環境でのディザスタリカバリの設定
    1. レプリケーションのシナリオ
      1.  
        クラウド環境でのデータレプリケーションについて - Linux
      2.  
        サポート対象のレプリケーションシナリオについて - Linux
    2. AWS クラウド環境でのレプリケーション
      1.  
        オンプレミスから AWS クラウドへのレプリケーション
      2.  
        同じ AWS 領域内の可用性ゾーン間でのレプリケーション
      3.  
        AWS 領域間でのレプリケーション
      4.  
        複数の AWS 可用性ゾーンと複数の領域間でのレプリケーション (キャンパスクラスタ)
    3. Azure クラウド環境でのレプリケーション
      1.  
        オンプレミスから Azure クラウドへのレプリケーション
      2.  
        同じ Azure 領域内でのレプリケーション
      3.  
        Azure 領域間でのレプリケーション
      4.  
        複数のサイトと複数の領域間でのレプリケーション (キャンパスクラスタ)
      5.  
        一時リソースディスクの特定について
    4. クラウド間でのレプリケーション
      1.  
        クロスクラウド環境でのレプリケーション - Linux
  6. 第 VI 部 参照
    1. 付録 A. 設定ファイルの例
      1. Storage Foundation for Oracle RAC のサンプル設定ファイル
        1.  
          sfrac02_main.cf ファイル
        2.  
          sfrac07_main.cf ファイルと sfrac08_main.cf ファイル
        3.  
          sfrac09_main.cf ファイルと sfrac10_main.cf ファイル
        4.  
          sfrac11_main.cf ファイル
        5.  
          sfrac12_main.cf ファイルと sfrac13_main.cf ファイル
        6.  
          ファイアドリルサービスグループの設定例
      2. SF(Storage Foundation)for Oracle RAC の main.cf サンプルファイルについて
        1.  
          CVM/VVR のプライマリサイトの Oracle 10g の main.cf のサンプル
        2.  
          CVM/VVR のセカンダリサイトの Oracle 10g の main.cf のサンプル
      3. SF(Storage Foundation)for Sybase ASE CE の main.cf サンプルファイルについて
        1.  
          VCS の制御下にあり、Sybase バイナリをインストールするための CFS の共有マウントポイントを持つ基本的な Sybase ASE CE クラスタ設定向けの main.cf のサンプル
        2.  
          Sybase バイナリをインストールするための VxFS のローカルマウントポイントを持つ基本的な Sybase ASE CE クラスタ設定向けの main.cf のサンプル
        3.  
          CVM VVR のプライマリサイトの main.cf のサンプル
        4.  
          CVM VVR のセカンダリサイトの main.cf のサンプル

複数の AWS 可用性ゾーンと複数の領域間でのレプリケーション (キャンパスクラスタ)

このシナリオでは、データは複数の可用性ゾーンと複数の領域間でレプリケートされます。この設定は、ソフトウェア VPN Openswan を使用して、異なる領域間の VPC を接続します。

図: 複数の可用性ゾーンと複数の領域間でのレプリケーション に、複数の可用性ゾーンと複数の領域間のレプリケーションのための設定を示します。

  • 2 つの VPC には、2 つの異なる領域内にある、有効な CIDR ブロック (それぞれ 10.30.0.0/16 と 10.60.0.0/16 など) があります。

  • プライマリインスタンスは領域 1 の AZ1 に属しており、セカンダリインスタンスは領域 2 の AZ2 に属しています。

  • 各 AZ に Veritas InfoScale インスタンスがあります。

  • プライマリインスタンスは、両端の VPN インスタンスを使用してセカンダリインスタンスと通信します。

  • VPN トンネルが、VPC 間のインスタンスの通信をセキュアにするために設けられます。

  • 2 つの VPN インスタンスを接続するための Elastic IP アドレス (EIP)

  • プライベート IP アドレスが、スタンドアロン環境内のレプリケーションに使用されます。または

    オーバーレイ IP アドレスが、クラスタ環境内のレプリケーションに使用されます。

図: 複数の可用性ゾーンと複数の領域間でのレプリケーション

複数の可用性ゾーンと複数の領域間でのレプリケーション
複数の可用性ゾーンと領域にわたる (キャンパスクラスタ) レプリケーションの設定

領域間でレプリケーションを設定するには、次の手順を実行します。

領域間でレプリケーションを設定するには

  1. 有効な CIDR ブロック (それぞれ 10.30.0.0/16 と 10.60.0.0/16 など) を持たせた 2 つの VPC を作成します。
  2. プライマリサイト EC2 インスタンスを領域のそれぞれの可用性ゾーン内に作成します。
  3. プライマリサイト VPN インスタンスを領域のそれぞれの可用性ゾーン内に作成します。VPN インスタンスは、プライマリ EC2 インスタンスと同じ VPC に属します。
  4. 有効なオーバーレイ IP アドレスを、プライマリサイトのレプリケーション IP アドレスとして選択します。このオーバーレイ IP アドレスは、プライマリサイトの VPC CIDR ブロック外部のプライベート IP アドレスです。プライマリサイトクラスタのマスターノードに、オーバーレイ IP アドレスを設定します。
  5. このオーバーレイ IP アドレスを含めるように、プライマリサイトのルートテーブルを変更します。プライマリサイト宛てのすべてのトラフィックがセカンダリ VPN インスタンスを経由してルーティングされ、セカンダリサイトのオーバーレイ IP 宛てのトラフィックがセカンダリ InfoScale インスタンスを経由してルーティングされるように、ルートテーブルエントリで設定していることを確認します。
  6. セカンダリサイト EC2 インスタンスを 2 番目の領域のそれぞれの可用性ゾーン内に作成します。
  7. セカンダリサイト VPN インスタンスを 2 番目の領域のそれぞれの可用性ゾーン内に作成します。VPN インスタンスは、セカンダリ EC2 インスタンスと同じ VPC に属します。
  8. 有効なオーバーレイ IP アドレスを、セカンダリサイトのレプリケーション IP アドレスとして選択します。このオーバーレイ IP アドレスは、セカンダリサイトの VPC CIDR ブロック外部のプライベート IP アドレスです。セカンダリサイトクラスタのマスターノードに、オーバーレイ IP アドレスを設定します。
  9. セカンダリサイトのルートテーブルを変更します。セカンダリサイト宛てのすべてのトラフィックがプライマリ VPN インスタンスを経由してルーティングされ、プライマリサイトのオーバーレイ IP 宛てのトラフィックがプライマリ InfoScale インスタンスを経由してルーティングされるように、ルートテーブルエントリで設定していることを確認します。
  10. ソフトウェア VPN を使用して、領域間の接続を設定します。設定例では Openswan を使用しています。

    次の手順を実行します。

    • プライマリ VPN インスタンスとセカンダリ VPN インスタンスに、Openswan パッケージをインストールします。

    • /etc/ipsec.conf ファイルと /etc/ipsec.secrets ファイルを設定します。

      メモ:

      /etc/ipsec.conf ファイルには、VPN インスタンスのプライベート IP アドレス、左側のサブネットのサブネット範囲、宛先 VPN の Elastic IP アドレス、右側の宛先サブネットのサブネット範囲に関する情報が格納されます。

      /etc/ipsec.secrets ファイルには秘密キーが格納されます。このキーは、両方の VPN サイトで同じである必要があります。

    • IPSec サービスを再起動します。

      # service ipsec restart
    • IPSec 接続を追加します。

      # ipsec auto -add vpc2vpcConnection 
      # ipsec auto -up vpc2vpcConnection
    • IPSec 転送を有効にします。

      # sysctl -w net.ipv4.ip_forward=1
  11. ipsec.conf ファイルを変更して、プライマリとセカンダリの両方のサイト VPN インスタンスのオーバーレイ IP アドレスを追加します。
  12. プライマリとセカンダリサイトのマスターノードが、オーバーレイ IP アドレスを使用して互いにアクセスできるかどうかを確認します。
  13. プライマリサイトとセカンダリサイトの間のレプリケーションを設定します。

    手順について詳しくは、『Veritas InfoScale レプリケーション管理者ガイド』のレプリケーションの設定の章を参照してください。

  14. レプリケーションの状態を確認します。
    # vradmin -g dg_name repstatus rvg_name

    RLINK が CONNECT 状態にあり、レプリケーション状態に次が示されることを確認します。

    Replication status: replicating (connected)