DMP の動作方法
DMP(Dynamic Multi-Pathing)では、パスフェールオーバー機能と負荷分散機能を使って、可用性、信頼性、パフォーマンスを向上します。これらの機能は、さまざまなベンダーのマルチポートディスクアレイに対応しています。
ディスクアレイは、複数のパスを介して、ホストシステムに接続することができます。 ディスクへのさまざまなパスを検出するために、DMP では、対応している各アレイに特有の機構を使います。 また、DMP では、DMP に対応していて同じホストシステムに接続されているアレイの様々なエンクロージャを識別します。
新しく追加されたディスクデバイスの検出と設定
DMP で使われるマルチパスポリシーは、ディスクアレイの特性によって異なります。
DMP では、次の標準アレイタイプをサポートします。
表:
アレイタイプ
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説明
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アクティブ/アクティブ(A/A)
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複数のパスを同時に使って I/O を行うことができます。また DMP により、I/O 負荷が LUN への複数のパス上に均等に分散されるので I/O スループットが向上します。 1 つのパスが失われた場合、DMP は自動的に、そのアレイに対して使える他のパスを介して I/O を行います。
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非対称アクティブ/アクティブ(A/A-A)
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A/A-A または非対称アクティブ/アクティブアレイは、パフォーマンスをほとんど低下させずにセカンダリストレージパスからアクセスできます。動作は、ALUA のアレイがサポートする SCSI コマンドをサポートしない点以外は ALUA と同じです。
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非対称論理ユニットアクセス(ALUA)
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DMP は ALUA のすべてのバリアントをサポートします。
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アクティブ/パッシブ(A/P)
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通常の操作中に 1 つのコントローラ(アクセスポートまたはストレージプロセッサ)上のプライマリ(アクティブ)パス経由で LUN(論理ユニット番号。ハードウェアを使って作成される実際のディスクまたは論理ディスク)へのアクセスが可能です。
非明示的フェールオーバーモード(auto-trespass モード)では、プライマリパスに障害が発生した場合、別のコントローラ上のセカンダリ(パッシブ)パスに I/O をスケジューリングすることによって、A/P アレイが自動的にフェールオーバーします。 このパッシブポートは、アクティブポートに障害が発生するまで I/O には使われません。 A/P アレイでは、プライマリパスで I/O 障害が発生すると、単一の LUN でパスのフェールオーバーが実行されます。
このアレイモードは、複数のプライマリパスを 1 つのコントローラに持つことで、同時 I/O と負荷分散をサポートします。この機能は、複数のポートを持つコントローラにより、またはアレイとコントローラ間に SAN スイッチを挿入することによって、提供されます。 セカンダリ(パッシブ)パスへのフェールオーバーは、すべてのアクティブなプライマリパスに障害が発生した場合にのみ実行されます。
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明示的フェールオーバーモードまたは非 auto-trespass モードのアクティブ/パッシブ(A/PF)
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LUN のセカンダリパスへのフェールオーバーを実行するには、該当するコマンドをアレイに発行する必要があります。
このアレイモードは、複数のプライマリパスを 1 つのコントローラに持つことで、同時 I/O と負荷分散をサポートします。この機能は、複数のポートを持つコントローラにより、またはアレイとコントローラ間に SAN スイッチを挿入することによって、提供されます。 セカンダリ(パッシブ)パスへのフェールオーバーは、すべてのアクティブなプライマリパスに障害が発生した場合にのみ実行されます。
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LUN グループフェールオーバーが設定されたアクティブ/パッシブ(A/PG)
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LUN グループフェールオーバーが設定されたアクティブ/パッシブアレイ(A/PG アレイ)の場合、1 つのコントローラを介して接続されている LUN のグループは単一のフェールオーバーエンティティとして扱われます。 A/P アレイの場合と異なり、フェールオーバーは個々の LUN レベルではなくコントローラレベルで実行されます。 プライマリコントローラとセカンダリコントローラは、それぞれ別の LUN グループに接続されます。 プライマリコントローラの LUN グループ内の LUN の 1 つに障害が発生した場合、そのグループ内のすべての LUN に対して、セカンダリコントローラへのフェールオーバーが実行されます。
このアレイモードは、複数のプライマリパスを 1 つのコントローラに持つことで、同時 I/O と負荷分散をサポートします。この機能は、複数のポートを持つコントローラにより、またはアレイとコントローラ間に SAN スイッチを挿入することによって、提供されます。 セカンダリ(パッシブ)パスへのフェールオーバーは、すべてのアクティブなプライマリパスに障害が発生した場合にのみ実行されます。
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アレイポリシーモジュール(APM)では、DMP がサポートする標準タイプ以外のアレイタイプを DMP に定義できます。
Dynamic Multi-Pathing は、DMP メタノード(DMP ノード)を使って、システムに接続されているディスクデバイスにアクセスします。 DMP に対応しているアレイ内のディスクの場合は、DMP により各ディスクに接続するパスセットに 1 つのノードがマップされます。 さらに、DMP によりそのディスクアレイに適合するマルチパスポリシーがノードに関連付けられます。
DMP に対応していないアレイ内のディスクの場合は、DMP によりディスクに接続するパスそれぞれに、個別のノードがマップされます。 ノードの raw デバイスおよびブロックデバイスは、ディレクトリ /dev/vx/rdmp および /dev/vx/dmp にそれぞれ作成されます。
図: DMP で、ディスクに対する複数の物理パスを 1 つのノードで表す方法 では、DMP によりサポートされているディスクアレイ内のディスクにどのようにノードが設定されるかについて説明しています。
DMP では、ディスクが属するアレイを識別することができるディスクデバイス名前の付け方を導入しました。
図: SAN 環境における、ディスクエンクロージャに対するマルチパスの例 には、エンクロージャ内の 1 つのディスクに 2 つのパス(c1t99d0 と c2t99d0)が存在し、VxVM により 1 つの DMP ノード(enc0_0)を使ってディスクにアクセスされる例が示されています。
エンクロージャに基づく名前の付け方について
ディスクデバイスの名前の付け方の変更
新しく追加されたディスクデバイスの検出と設定