「上書き禁止期間」と「追記期間」について

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Last Published: 2021-06-25
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Product(s): Backup Exec

問題

Backup Execはメディアとデータの保持をどのように管理しますか?

注: Backup Exec 2012以降では、この記事の情報はテープ処理にのみ適用されます

 

エラーメッセージ

この記事はメディア管理に関する一般的な情報です。

Backup Exec の上書き禁止期間および追記期間の基礎についてはこのビデオ(英語)をご覧ください。

解決策


上書き禁止期間:

上書き禁止期間は、メディアが上書きされない時間を、時間、日、週、年の単位で指定したものです。メディアセットの上書き保護期間は、ユーザーが変更できます。たとえば、上書き禁止期間が4週間に設定されている場合は、メディアは4週間上書きされないように保護されます。 4週間が経過すると、メディアは再利用可能になり、上書きできます。上書き禁止期間は、各ジョブの開始日時ではなく、終了日時から計算します。メディアが変更されるたびに長くなります。



追記期間:

追記期間は、メディアにデータを追加できる時間を、時間、日、週、年の単位で指定したものです。メディアセットの追記期間は、ユーザーが変更できます。たとえば、追記期間が4週間に設定されている場合、4週間の間メディアにデータを追加することができます。 4週間を過ぎると、メディアへの追加はできなくなります。追記期間は、メディアがメディアセットに初めて割り当てられた時点から始まります。

 

上書き禁止期間と追記期間は、Backup Execコンソールのストレージタブから設定できます。任意のメディアセット名をダブルクリックして、プロパティを表示します。値を変更したら「適用」ボタンをクリックします。(図1、2)

図1.

図2.


スクラッチメディア:

任意のバックアップ操作で上書きできるメディアは、スクラッチメディアセットに含まれています。スクラッチメディアは、新しいメディア、未使用メディア、消去済みメディア、他のメディアセットから移動されたメディアのいずれかであり、スクラッチメディアセットに青色で表示されます。スクラッチメディアにはデータを追記できません。スクラッチメディアをバックアップ操作で使うと、バックアップ操作中に対象のユーザーメディアセットにそのメディアが自動的に移動されます。メディアの表示色が青から黒に変わり、ユーザーメディアセットの上書き禁止期間と追記期間の設定がそのメディアに継承されます。



破棄メディア:

破棄されたメディアのことです。メディアセットから手動で移動しない限り、Backup Exec のどのメディア操作でも使われません。あるメディアで不具合が発生した場合は、そのメディアをユーザー側で破棄メディアセットに移動する必要があります。また、上書きされないように保護したいメディアを破棄メディアセットに入れておくこともできます。メディアの上書き禁止レベルがすべて許可するに設定されている場合は、この操作が必要になります (メディア上書き禁止レベルに関する重要な注意事項を参照)。


インポートメディア:

Backup Exec 他のインストール環境、または各種のバックアップ製品で作成したメディアは、インポートメディアとして扱われます。

注意:

  • Backup Execの上書き禁止レベルで「なし」または「一部」のいずれかを使用している場合は、ドライブに使用可能なスクラッチメディアまたは再利用可能なメディアが見つからない場合に、バックアップ操作によってインポートされたメディアが上書きされます。インポートされたメディアを上書きする前にユーザーにプロンプ​​トを表示するように保護レベルを構成することもできます。
  • インポートされたメディアに追加するには、バックアップ操作を実行する前に、バックアップ操作の対象となるユーザーメディアセットにメディアを手動で移動する必要があります。


ユーザーメディアセット:

ユーザーメディアセットとは、手動で作成されたメディアセットのことです。ユーザーメディアセットには、メディアセットに割り当てられたすべてのメディアが含まれます。
ユーザーメディアセットは、ストレージタブの[ストレージを設定]ボタンをクリックして、[メディアセットとボルト][メディアセットを作成]で作成できます。デフォルトで、「データ4週間保持」と「データを無期限に保持 - 上書きを禁止する」という2つのユーザーメディアセットが用意されています。


割り当て済みメディア:

ユーザーメディアセットに含まれているメディアのうち、上書き禁止期間がまだ終了していないメディアです。割り当て済みメディアは、メディアの追記期間がまだ終了していなければ追記操作に使用できます。割り当て済みメディアは、ユーザーメディアセットに黒色で表示されます。上書き禁止期間が終了すると、割り当て済みメディアは再利用可能メディアになり、そのままユーザーメディアセット内に維持されます。

 

再利用可能メディア:

ユーザーメディアセットに含まれているメディアのうち、上書き禁止期間がすでに終了しているメディアです。再利用可能メディアは上書き操作や追記操作に使用できます (追記操作は追記期間がまだ終了していない場合のみ可能です)。再利用可能メディアは、ユーザーメディアセットに青色で表示されます。


リサイクル可能なメディア:

ユーザーメディアセットの一部であり、上書き保護期間が終了した割り当て済みメディア。メディアは、上書き操作または追加操作に使用できます(追加操作は、追加期間でメディアを追加できる場合にのみ可能です)。メディアは、ユーザーメディアセットの下に青色で表示されます。

 


Backup Execは上書きするメディアをどのように選択しますか?(図3)

図3.

  1. ターゲットメディアセット内の再利用可能メディアへ上書きする前に、スクラッチメディアへ上書きする
    このオプションを選択すると、上書きジョブの発生時に、Backup Exec により再利用可能メディアの前にスクラッチメディアがまず上書きされます。どのストレージデバイスにもスクラッチメディアが存在しない場合は、 Backup Exec により、ターゲットメディアセット内の再利用可能メディアが上書きされます。再利用可能メディアが存在しない場合は、Backup Exec により、自動的に他の上書き用メディアが検索されます。どのメディアが上書きされるかは、メディアの上書き禁止レベルの設定 (すべて禁止する、一部許可する、すべて許可する) によって決まります。このオプションを選択した場合は、再利用可能メディアを先に使用するように指定した場合に比べ、同数のジョブに必要なメディアの数が増加します。このオプションは、Backup Exec での上書き用メディアの選択順序に影響を与えるため、スクラッチメディアから先に上書きに使用するように選択すると、再利用可能メディアをリカバリ用により長く保持することができます。

     
  2. スクラッチメディアへ上書きする前に、ターゲットメディアセット内の再利用可能メディアへ上書きする
    このオプションを選択すると、上書きジョブの発生時に、Backup Exec によりスクラッチメディアの前にターゲットメディアセット内の再利用可能メディアが上書きされます。どのストレージデバイスにも再利用可能メディアが存在しない場合は、Backup Exec により、スクラッチメディアが上書きされます。再利用可能メディアもスクラッチメディアも存在しない場合は、Backup Exec により、自動的に上書き用メディアが検索されます。どのメディアが上書きされるかは、メディアの上書き禁止レベルの設定 (すべて禁止する、一部許可する、すべて許可する ) によって決まります。ターゲットメディアセット内の再利用可能メディアから先に使用するように選択した場合は、スクラッチメディアから先に使用する場合に比べ、同じメディアを使用する頻度が高くなります。
     
 

再利用可能メディアの前にスクラッチメディアを使用するように設定されている場合は、上書きバックアップ操作を実行すると、Backup Exec は次の手順に従って上書き可能メディアを検索します。

  1. まず、スクラッチメディアセットで上書き可能なメディアが検索されます。オートローダを使用していて、バックアップ操作で使用可能なスクラッチメディアが複数ある場合は、割り当て日時が最も古いスクラッチメディアが選択されます。
    割り当て日時はストレージタブから確認できます。(図4)

    図4.

    割り当て日時は、メディアに対する上書きジョブや消去ジョブによって変更されます。
     
  2. 上書き操作に使用可能なスクラッチメディアがない場合は、次にバックアップ操作の対象のユーザーメディアセットで再利用可能メディアが検索されます。この場合、再利用可能になってからの時間の長さに基づいてメディアが選択されます (つい最近再利用可能になったメディアより先に、以前から再利用可能であったメディアが選択されます)。2 つのメディアの再利用可能になってからの時間が等しい場合は、割り当て日時が古いほうのメディアが選択されます。
     
  3. バックアップ操作のターゲットのユーザーメディアセットに上書き可能な再利用可能メディアがない場合、次にその他すべてのユーザーメディアセットで上書き可能な再利用可能メディアが検索されます。バックアップ操作に使用できる再利用可能メディアが複数ある場合は、再利用可能になってからの時間に基づいてメディアが選択されます (つい最近再利用可能メディアになったメディアより先に、以前から再利用可能であったメディアが選択されます)。2 つのメディアの再利用可能になってからの時間が等しい場合は、割り当て日時が古いほうのメディアが選択されます。
     
  4. 上書き操作に使用可能な再利用可能メディアがなく、Backup Exec のメディアの上書き禁止レベルがすべて禁止するに設定されている場合は、スクラッチメディアの挿入を求めるメッセージが表示されます。
     
  5. 上書き操作に使用可能な再利用可能メディアがなく、Backup Exec の上書き禁止レベルが一部許可するまたはすべて許可するに設定されている場合は、上書き可能なメディアがインポートメディアセットで検索されます。オートローダを使用していて、バックアップ操作で使用可能なインポートメディアが複数ある場合は、割り当て日時が最も古いインポートメディアが選択されます。
     
  6. 上書き操作に使用可能なインポートメディアがなく、Backup Exec のメディアの上書き禁止レベルが一部許可するに設定されている場合は、スクラッチメディアの挿入を求めるメッセージが表示されます。
     
  7. 上書き操作に使用可能なインポートメディアがなく、Backup Exec のメディアの上書き禁止レベルがすべて許可するに設定されている場合は、割り当て済みメディア (ユーザーメディアセット内の再利用可能メディア以外のメディア) が検索されます。オートローダを使用していて、バックアップ操作で使用可能な割り当て済みメディアが複数ある場合は、割り当て日時が最も古い割り当て済みメディアが選択されます。
     
  8. それでもメディアが見つからない場合は、スクラッチメディアの挿入を求めるメッセージが表示されます。

図5.



 

スクラッチメディアの前に再利用可能メディアを使用するように設定されている場合は、上書きバックアップ操作を実行すると、Backup Exec により、次の手順に従って上書き可能メディアが検索されます。

  1. まず、バックアップ操作のターゲットのユーザーメディアセットで再利用可能メディアが検索されます。オートローダを使用していて、バックアップ操作に使用できる再利用可能メディアが複数ある場合は、再利用可能になってからの時間に基づいてメディアが選択されます (つい最近再利用可能メディアになったメディアより先に、以前から再利用可能であったメディアが選択されます)。2 つのメディアの再利用可能になってからの時間が等しい場合は、割り当て日時が古いほうのメディアが選択されます。
     
  2. ターゲットのユーザーメディアセットに再利用可能メディアがない場合は、次に上書き可能なスクラッチメディアが検索されます。オートローダを使用していて、バックアップ操作で使用可能なスクラッチメディアが複数ある場合は、割り当て日時が最も古いスクラッチメディアが選択されます。
     
  3. 上書き操作に使用可能なスクラッチメディアがない場合は、次にその他すべてのユーザーメディアセットで上書き可能な再利用可能メディアが検索されます。バックアップ操作に使用できる再利用可能メディアが複数ある場合は、再利用可能になってからの時間に基づいてメディアが選択されます (つい最近再利用可能メディアになったメディアより先に、以前から再利用可能であったメディアが選択されます)。2 つのメディアの再利用可能になってからの時間が等しい場合は、割り当て日時が古いほうのメディアが選択されます。
     
  4. 上書き操作に使用可能な再利用可能メディアがなく、Backup Exec のメディアの上書き禁止レベルがすべて禁止するに設定されている場合は、スクラッチメディアの挿入を求めるメッセージが表示されます。
     
  5. 上書き操作に使用可能な再利用可能メディアがなく、Backup Exec の上書き禁止レベルが一部許可するまたはすべて許可するに設定されている場合は、上書き可能なメディアがインポートメディアセットで検索されます。オートローダを使用していて、バックアップ操作で使用可能なインポートメディアが複数ある場合は、割り当て日時が最も古いインポートメディアが選択されます。
     
  6. 上書き操作に使用可能なインポートメディアがなく、Backup Exec のメディアの上書き禁止レベルが一部許可するに設定されている場合は、スクラッチメディアの挿入を求めるメッセージが表示されます。
     
  7. 上書き操作に使用可能なインポートメディアがなく、Backup Exec のメディアの上書き禁止レベルがすべて許可するに設定されている場合は、割り当て済みメディア (ユーザーメディアセット内の再利用可能メディア以外のメディア) が検索されます。オートローダを使用していて、バックアップ操作で使用可能な割り当て済みメディアが複数ある場合は、割り当て日時が最も古い割り当て済みメディアが選択されます。
     
  8. それでもメディアが見つからない場合は、スクラッチメディアの挿入を求めるメッセージが表示されます。

図6.



 

Backup Execは追加するメディアをどのように選択しますか?

追記ジョブの実行時に追記可能メディアがなかった場合の Backup Exec の動作をユーザー側で指定できます。この動作はジョブ単位で指定できます。次の 2 つの新しいオプションを使います。

  • メディアに追記する (追記可能なメディアがない場合は上書きする)
    Backup Execは、バックアップ操作の対象となるユーザーメディアセットにバックアップを追加します。選択したメディアセットで追加可能なメディアが使用可能な場合は、追加可能なメディアにバックアップセットが追加されます。そうでない場合は、上書き可能なメディアが使用され、メディアセットに追加されます。
  • メディアに追記する (追記可能なメディアがない場合はジョブを終了する)
    Backup Execは、バックアップ操作の対象となるユーザーメディアセットにバックアップを追加します。選択したメディアセットで追加可能なメディアが使用可能な場合は、追加可能なメディアにバックアップセットが追加されます。そうでない場合は、ジョブを中止します。


注意: 追記ジョブの途中でメディアの空き領域がなくなった場合は、そのジョブは上書き可能な別のメディアを使用して続行されます。Backup Exec は同じジョブ内で複数のメディアに追記しません。設定に応じて、スクラッチメディアまたは再利用可能メディアから上書き可能なメディアが選択されます。ドライブ内のメディアが上書き不可能な場合は、スクラッチメディアの挿入を求めるメッセージが表示されます。


バックアップジョブでメディアに追記する (追記可能なメディアがない場合は上書きする) が設定されている場合は、追記バックアップ操作を実行すると、次の手順に従って追記可能メディアが検索されます。

  1. Backup Execはまず、バックアップ操作の対象となるユーザーメディアセットで追加可能なメディアを検索します。追加可能なメディアが見つからない場合は、Backup Exec はバックアップ操作を追加から上書きに変更し、メディアの検索を続行します。
  2. ジョブが追加可能なメディアを見つけることができる場合、ジョブはメディアをマウントし、そのメディアへのジョブの書き込みに進みます。バックアップジョブがバックアップ操作を完了するためにより多くのメディアを必要とする場合、Backup Execは一つのジョブで複数のメディアに追記できないため、操作を完了するためのメディアのそれ以上の要求は上書き可能なメディアに対して行われます。

 

バックアップジョブでメディアに追記する (追記可能なメディアがない場合はジョブを終了する) が設定されている場合は、追記バックアップ操作を実行すると、次の手順に従って追記先メディアが検索されます。

  1. Backup Exec はまず、バックアップ操作の対象となるユーザーメディアセットで追加可能なメディアを検索します。
  2.  追加可能なメディアが見つからない場合、バックアップジョブは終了します。 

 

警告: メディアの上書き禁止レベルを [なし] に設定する前に、慎重に検討することを強くお勧めします。上書き禁止レベルが [なし] に設定されている場合、メディアセット、上書き保護期間、追加期間、またはその他のプロパティに関係なく、すべてのメディアが上書きされる可能性があります。

 

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