Cluster Server 8.0 管理者ガイド - Linux
- 第 I 部 クラスタ化の概念と用語
- Cluster Server の概要
- Cluster Server について
- クラスタ制御のガイドラインについて
- VCS の物理コンポーネントについて
- VCS の論理コンポーネント
- 各要素の組み合わせ
- クラスタトポロジーについて
- VCS 設定の概念
- Cluster Server の概要
- 第 II 部 管理 - VCS の利用方法
- VCS ユーザー権限モデルについて
- コマンドラインによるクラスタの管理
- コマンドラインでの VCS の管理について
- VCS ライセンスのインストールについて
- LLT の管理
- AMF カーネルドライバの管理
- VCS の起動
- VCS の停止
- サービスグループを退避させない VCS の停止
- VCS エンジンと関連プロセスの停止
- VCS へのログイン
- VCS 設定ファイルの管理について
- コマンドラインによる VCS ユーザーの管理について
- VCS のクエリーについて
- サービスグループの管理について
- エージェントの管理
- リソースの管理について
- リソースタイプの管理について
- システムの管理
- クラスタの管理について
- VCS コマンドを使ったスクリプトでの -wait オプションの使用
- HA ファイアドリルの実行
- コマンドラインによるシミュレートクラスタの管理について
- VCS でのアプリケーションとリソースの設定
- VCS Simulator を使った VCS の動作の予測
- 第 III 部 VCS 通信と操作
- クラスタの通信、メンバーシップ、データ保護について
- クラスタ通信について
- クラスタメンバーシップについて
- メンバーシップアービトレーションについて
- データ保護について
- I/O フェンシングの設定ファイルについて
- I/O フェンシングを使う VCS 操作の例
- I/O フェンシングを使わない、クラスタメンバーシップとデータ保護について
- I/O フェンシングを使わない VCS 動作の例
- クラスタ通信におけるベストプラクティスの概略
- I/O フェンシングの管理
- I/O フェンシングの管理について
- vxfentsthdw ユーティリティについて
- vxfentsthdw ユーティリティを使うための一般的なガイドライン
- vxfentsthdw コマンドのオプションについて
- vxfentsthdw の -c オプションを使ったコーディネータディスクグループのテスト
- -r オプションを使った、ディスク上での非破壊テストの実行
- vxfentsthdw -m オプションを使った、共有ディスクのテスト
- vxfentsthdw -f オプションを使った、ファイルにリストされた共有ディスクのテスト
- vxfentsthdw -g オプションを使った、ディスクグループ内の全ディスクのテスト
- 既存のキーによるディスクのテスト
- vxfentsthdw -o オプションを使ってディスクをテストする
- vxfenadm ユーティリティについて
- vxfenclearpre ユーティリティについて
- vxfenswap ユーティリティについて
- コーディネーションポイントサーバーの管理について
- CP サーバーの操作(cpsadm)
- CP サーバーのクローン作成
- CP サーバーデータベースからの VCS clusterエントリの追加と削除
- CP サーバーデータベースに対する VCS clusterノードの追加と削除
- CP サーバーユーザーの追加または削除
- CP サーバーユーザーのリスト表示
- すべての VCS clusterのノードのリスト表示
- VCS clusterのノードのメンバーシップのリスト表示
- ノードの獲得
- ノードの登録と登録解除
- VCS clusterへのユーザーのアクセスの有効化と無効化
- VCS 制御外での CP サーバーの起動と停止
- CP サーバーの接続性の確認
- 実行時における CP サーバーの仮想 IP アドレスとポートの追加と削除
- CP サーバーデータベースのスナップショットの取得
- オンラインクラスタでサーバーベースのフェンシングに使うコーディネーションポイントの置き換え
- サーバー型のフェンシングのコーディネーションポイントの登録キーの更新
- IPv6 またはデュアルスタックをサポートする CP サーバーの設定について
- CP サーバーの配備と移行のシナリオ
- ディスクベースとサーバーベースのフェンシング設定間の移行について
- 優先フェンシングポリシーの有効化と無効化
- I/O フェンシングのログファイルについて
- VCS の動作の制御
- リソース障害時の VCS の動作
- サービスグループレベルでの VCS 動作の制御について
- リソースレベルでの VCS 動作の制御について
- エージェントファイルパスとバイナリの変更
- ストレージ接続消失時の VCS 動作
- サービスグループワークロード管理
- ワークロード管理を示した設定例
- サービスグループの依存関係のロール
- クラスタの通信、メンバーシップ、データ保護について
- 第 IV 部 管理 - 高度な操作
- VCS イベント通知
- VCS イベントトリガ
- VCS イベントトリガについて
- イベントトリガのi使用
- イベントトリガの一覧
- dumptunables トリガについて
- globalcounter_not_updated トリガについて
- injeopardy イベントトリガについて
- loadwarning イベントトリガについて
- nofailover イベントトリガについて
- postoffline イベントトリガについて
- postonline イベントトリガについて
- preonline イベントトリガについて
- resadminwait イベントトリガについて
- resfault イベントトリガについて
- resnotoff イベントトリガについて
- resrestart イベントトリガについて
- resstatechange のイベントトリガについて
- sysoffline イベントトリガについて
- sysup トリガについて
- sysjoin トリガについて
- unable_to_restart_agent イベントトリガについて
- unable_to_restart_had イベントトリガについて
- violation イベントトリガについて
- Virtual Business Service
- 第 V 部 Veritas High Availability 設定ウィザード
- 第 VI 部 ディザスタリカバリ用のクラスタ設定
- クラスタの相互接続 - グローバルクラスタの作成
- コマンドラインによるグローバルクラスタの管理
- RDC の設定
- キャンパスクラスタの設定
- 第 VII 部 トラブルシューティングおよびパフォーマンス
- VCS パフォーマンスに関する注意事項
- クラスタコンポーネントの処理速度に対する影響
- クラスタ操作の処理速度に対する影響
- クラスタシステム起動時の VCS の処理速度に関する注意事項
- リソースがオンラインになるときの VCS の処理速度に関する注意事項
- リソースがオフラインになるときの VCS の処理速度に関する注意事項
- サービスグループがオンラインになるときの VCS の処理速度に関する注意事項
- サービスグループがオフラインになるときの VCS の処理速度に関する注意事項
- リソースで障害が発生したときの VCS の処理速度に関する注意事項
- システムで障害が発生したときの VCS の処理速度に関する注意事項
- ネットワークリンクで障害が発生したときの VCS の処理速度に関する注意事項
- システムパニックのときの VCS の処理速度に関する注意事項
- サービスグループが切り替わるときの VCS の処理速度に関する注意事項
- サービスグループがフェールオーバーするときの VCS の処理速度に関する注意事項
- スケジュールクラスと優先度の設定について
- VCS エージェントの統計機能
- VCS のチューニングパラメータについて
- VCS のトラブルシューティングおよびリカバリ
- VCS メッセージログ
- VCS エンジンのトラブルシューティング
- LLT(Low Latency Transport)のトラブルシューティング
- GAB(Group Membership Services/Atomic Broadcast)のトラブルシューティング
- VCS の起動に関するトラブルシューティング
- systemd ユニットサービスファイルの問題のトラブルシューティング
- IMF(Intelligent Monitoring Framework)のトラブルシューティング
- サービスグループに関するトラブルシューティング
- VCS はサービスグループを自動的に起動しない
- システムが RUNNING 状態にならない
- あるシステムでサービスグループがオンラインにならない
- サービスグループが自動起動しない
- サービスグループがフリーズしている
- フェールオーバーサービスグループが、別のシステムでオンラインになっている
- 重大なリソース障害が発生した
- サービスグループが自動無効化の状態になっている
- リソースがオンラインまたはオフラインになるまでサービスグループが待機している
- 依存関係が満たされるまでサービスグループが待機している
- サービスグループのプローブが完了していない
- サービスグループが予想されたシステムにフェールオーバーしない
- FailOverPolicy が BiggestAvailable に設定されているのに、サービスグループが BiggestAvailable システムにフェールオーバーしない
- VCS で作成されるバックアップからの測定データベースの復元
- 測定データベースの初期化の失敗
- サービスグループのフェールオーバーまたはスイッチ中にエラーメッセージが表示される
- リソースに関するトラブルシューティング
- サイトのトラブルシューティング
- I/O フェンシングのトラブルシューティング
- 他のノードが除外されている間、ノードはクラスタを参加させられない
- SCSI TEST UNIT READY コマンドが失敗すると、vxfentsthdw ユーティリティが失敗する
- SCSI-3 ディスクから手動で既存のキーを削除する
- システムパニックによって潜在的なデータ破損が防止される
- コーディネータディスクの I/O フェンシングキーのクラスタ ID がローカルクラスタの ID と一致しない
- フェンシングの起動時にすでに発生しているスプリットブレイン状態が報告される
- 登録済みのキーがコーディネータディスクから失われている
- クラスタがオフラインになっているときに不具合のあるディスクの置換
- rcp または scp コマンドが機能していないと vxfenswap ユーティリティが終了する
- CP サーバーのトラブルシューティング
- VCS クラスタノードでのサーバーベースのフェンシングのトラブルシューティング
- コーディネーションポイントのオンライン移行中の問題
- 通知に関するトラブルシューティング
- グローバルクラスタのトラブルシューティングとリカバリ
- Steward プロセスのトラブルシューティング
- ライセンスに関するトラブルシューティング
- ライセンスキーの検証
- ライセンスのエラーメッセージ
- [Licensing] Insufficient memory to perform operation
- [Licensing] No valid VCS license keys were found
- [Licensing] Unable to find a valid base VCS license key
- [Licensing] License key can not be used on this OS platform
- [Licensing] VCS evaluation period has expired
- [Licensing] License key can not be used on this system
- [Licensing] Unable to initialize the licensing framework
- [Licensing] QuickStart is not supported in this release
- [Licensing] Your evaluation period for the feature has expired.This feature will not be enabled the next time VCS starts
- セキュア設定のトラブルシューティング
- ウィザードベースの設定に関する問題のトラブルシューティング
- [Veritas High Availability]ビューの問題のトラブルシューティング
- VCS パフォーマンスに関する注意事項
- 第 VIII 部 付録
例: クラスタ相互接続に障害が発生した、4 つのシステムを持つクラスタ
この例では、クラスタ相互接続に障害が発生し、4 つのシステムで構成される 1 つのクラスタが 2 つのシステムで構成されるクラスタに分割されます。クラスタでは、1 つのサブクラスタのみが残るようにメンバーシップアービトレーションが実行されます。
ハートビートの消失によって、システム 0 とシステム 1 の両方はシステム 2 とシステム 3 が停止していると考えます。システム 2 とシステム 3 の両方はシステム 0 とシステム 1 が停止していると考えます。
I/O フェンシング操作は次のように進行します。
4 つの各システムの LLT は、通信相手(ピア)とのタイムアウト値に設定された期間、設定済みのどの LLT インターフェースにおいても、相互接続エラーの相手側のシステムからハートビートメッセージを受信しなくなります。
各システムの LLT は、メンバーシップの変更を認識したことを GAB に伝えます。 具体的には次のとおりです。
システム 0 の LLT は、システム 2 とシステム 3 を認識できなくなったことを GAB に伝えます。
システム 1 の LLT は、システム 2 とシステム 3 を認識できなくなったことを GAB に伝えます。
システム 2 の LLT は、システム 0 とシステム 1 を認識できなくなったことを GAB に伝えます。
システム 3 の LLT は、システム 0 とシステム 1 を認識できなくなったことを GAB に伝えます。
LLT が GAB にハートビートの消失を通知した後、残っているシステムは「GAB 安定タイムアウト」(5 秒)を実行します。 この例の詳細は次のとおりです。
システム 0 とシステム 1 は、その両方がシステム 2 とシステム 3 を認識できないことに同意します。
システム 2 とシステム 3 は、その両方がシステム 0 とシステム 1 を認識できないことに同意します。
GAB はシステムを DOWN としてマーク付けし、システムをクラスタメンバーシップから除外します。この例の詳細は次のとおりです。
システム 0 とシステム 1 の GAB は、システム 2 とシステム 3 を DOWN としてマーク付けし、それらをクラスタメンバーシップから除外します。
システム 2 とシステム 3 の GAB は、システム 0 とシステム 1 を DOWN としてマーク付けし、それらをクラスタメンバーシップから除外します。
4 つの各システムの GAB は、メンバーシップアービトレーションを行うためにメンバーシップの変更を vxfen ドライバに伝えます。各サブクラスタはコーディネータディスクの制御権を獲得しようとします。この例の詳細は次のとおりです。
システム 0 は LLT ID が低いため、自身とシステム 1 を代表して制御権の獲得競争に参加します。
システム 2 は LLT ID が低いため、自身とシステム 3 を代表して制御権の獲得競争に参加します。
4 つの各システムの GAB はメンバーシップの変更を HAD にも伝えます。HAD はフェンシングモジュールからのメンバーシップアービトレーションの結果を待ってから、以降の処理を実行します。
System0 がコーディネーションポイントの過半数に到達できない場合、VxFEN ドライバは システム 0 から 新たにシステム 1 を RACER として再選し、System1 はコーディネーションポイントへの競争を開始します。
システム 0 がコーディネータディスクの制御権を獲得し、システム 2 とシステム 3 の登録キーをディスクから削除したと仮定します。結果は次のとおりです。
システム 0 がコーディネータディスクの制御権を獲得します。システム 0 のフェンシングモジュールは、WON_RACE を現在のクラスタ内の他のすべてのフェンシングモジュール(この場合はシステム 0 とシステム 1)に伝達します。 WON_RACE を受け取ると、各システムのフェンシングモジュールは成功を HAD に伝達します。 システム 0 とシステム 1 は有効な現在のクラスタメンバーとして残ります。
System1 に WON_RACE を送信する前に System0 が停止した場合、VxFEN は System0 から新たに System1 を RACER として再選し、System1 はコーディネーションポイントへの競争を開始します。
コーディネーションポイントの過半数を獲得した System1 は有効なままとなり、System1 のクラスタとフェンシングモジュールの現在のメンバーは成功を HAD に伝えます。
System2 はコーディネータディスクの制御権の獲得に失敗し、System 2 のフェンシングモジュールは LOST_RACE メッセージを送信します。システム 2 のフェシングモジュールはカーネルパニックを呼び出し、システムは再起動します。
システム 3 はシステム 2 のカーネルパニックから別のメンバーシップの変更を認識します。システム 2 は、このサブクラスタでコーディネータディスクの制御権の獲得競争に参加したシステムであったため、システム 3 もパニックを起こします。
HAD は、メンバーシップの変更に基づいて、関連付けられたすべてのポリシーまたはリカバリ処理を実行します。
システム 2 とシステム 3 は、共有ストレージにアクセスできなくなります(システム 0 またはシステム 1 によって現在テイクオーバーされているサービスグループに共有ストレージが含まれていた場合)。
システム 2 とシステム 3 がクラスタに再参加するには、管理者は次の処理を実行する必要があります。
システム 2 とシステム 3 をシャットダウンします。
クラスタ相互接続リンクを解決します。
システム 2 とシステム 3 を再起動します。